日本発DeFi保険「InsureDAO」、ステーブルコインのディペッグに対応する商品ローンチ

InsureDAOがステーブルコインのディペッグに対応した保険ローンチ

日本発のDeFi(分散型金融)保険「InsureDAO(インシュア・ダオ)」が、ステーブルコインのディペッグに対応した保険商品を9月27日に発表した。

ステーブルコインとは、取引価格を安定させることを目的に、法定通貨や金などの資産と価格連動するように設計された暗号資産(仮想通貨)のこと。法定通貨担保型や暗号資産担保型、アルゴリズムにより価格連動をする無担保型などがある。

今回「インシュアダオ」が発表したこの保険は、ステーブルコインの価格が連動する資産との価格乖離(ディペッグ)が発生した際に、投資家が受けた損失に対し請求を行える保険となっている。

この保険の利点としては「保険金の支払いが2日以内に行われること」と「損失の証明を提示する必要がないこと」が挙げられている。分散型オラクルネットワークであるチェーンリンク(Chainlink)のオラクルに基づいて自動的に保険金請求を評価するため、保険の買い手は米ドルステーブルコインの「USDC」を送信するだけで迅速な支払いを受けられるとのことだ。

なおこの保険では、dApps(分散型アプリケーション)を利用して対象ステーブルコインのショートポジションを持つことでディペッグ時の保険金を確保するとのこと。つまり、ディペッグが起きた場合はショートポジションを清算することで、その利益を保険金に回す動きをとる。このような仕組みのため、同保険に対する流動性供給者がディペッグによる損失を被ることはないとのことだ。

「インシュアダオ」はまず、sUSDとUSDTを対象とした保険をローンチする。期間は1か月、2か月、3か月の3種類で、1米ドルに対しステーブルコイン側の価格が0.89米ドルを下回った場合に保険が適用されるとのことだ。なおsUSDとは合成資産発行プロトコルであるシンセティックス(Synthetix)上の米ドルステーブルコインで、USDTはテザー社発行の米ドルステーブルコインだ。

「インシュアダオ」は今回のステーブルコイン保険の効果が確認でき次第、今後対象コインを増やす予定だという。最終的にはユーザーが複数の保険を比較し最適な保険を選択できる機能の追加や他の保険と併用した場合の割引の実施などを予定しているとのことだ。

InsureDAOとは

「インシュアダオ」はイーサリアムとオプティミズム(OptimismNetwork)、アスターネットワーク(Astar Network)上で稼働する保険市場プロトコルで、プロトコルの運用・管理をDAO(自律分散型組織)の形式で行っている。同ブロックチェーンにアクセスできる人であれば、「インシュアダオ」はKYC(本人確認)無しで、あらゆる保険の作成・購入・引き受けが可能となっている。サービス自体は「インシュアダオ」のネイティブトークン「INSURE」ホルダーにより運営される。

「インシュアダオ」を利用すれば、それぞれの対応ブロックチェーン基盤のDeFiプロトコルを通して利回りなどを得ている投資家がハッキング被害にあった場合、損害保険金が支払われるようになる。

損害保険金の支払い一例としては「yearn.financeにステーキングした資金がcurve.fiに再配置された場合、curve.fiで資金がハッキング/盗難/紛失された場合もカバーされます」と過去にInsureDAOが説明している。

なお「インシュアダオ」は日本人創業者のチームで、ファウンダーは斯波晃士氏、Operation leadは高橋基希氏、Growth leadは岸上ルビオ氏、Tech leadは及川駿氏が務める。チームはシンガポールを拠点に開発を行っている。

「インシュアダオ」は今年2月イーサリアム(Ethereum)のメインネットでローンチし、7月にオプティミズム(OptimismNetwork)およびアスターネットワーク(Astar Network)上で稼働開始しマルチチェーン対応したことを発表している。

また「インシュアダオ」のトークンである「INSURE」は今年7月8日に海外暗号資産取引所MEXC Global(エムイーエックスシーグローバル)へ上場している。

関連ニュース

日本発DeFi保険「InsureDAO(INSURE)」、アスターネットワーク(ASTR)対応

【取材】日本発DeFi保険「InsureDAO (INSURE)」、MEXCに上場へ

【動画】日本発のDeFi保険「InsureDAO」とは?(InsureDAO Founder 斯波晃士氏)

保険証書NFT、IMAフィナンシャルが発行

CAC、衛星とブロックチェーンで「配達員保険システム」実証実験

参考:InsureDAO
デザイン:一本寿和
images:iStocks/olegback・Who_I_am

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

合わせて読みたい記事

【5/2話題】ビットコインが下落、米検察がブロック捜査、レイヤーゼロがスナショなど

ビットコインが6%近く下落、FOMC控え 最高値から22%安、米連邦検察、米決済ブロックの社内業務を調査=報道、レイヤーゼロがスナップショット実施、エアドロ間近か、テザー社、Q1が過去最高益45億ドル超に、純資産額も初公表、米セキュリタイズがブラックロックらから4700万ドル調達。サークル、アプトスラボ、パクソスも参加、HashKey DX・リップル・SBI Ripple Asiaが提携、法人向けの「XRP Ledger」の日本市場導入で、「スイ(SUI)」のミステンラボ、グーグルクラウドと提携、親クリプト派マクヘンリー米下院議員、SECのイーサリアム調査を非難、ストライプで「AVAX」の購入が可能に、アバランチとコアウォレットに統合で、ユニスワップウォレットに「Robinhood Connect」統合、ロビンフッド内の資金で暗号資産購入可能に、イーサリアムL2「Scroll」がアップグレード実施、EIP-4844に対応、クリプトヴィレッジのLocal DAO、旧山古志に続き「長野県天龍峡」と「宮崎県椎葉村」を選定。「Nishikigoi NFT」保有者の投票で決定へ

ユニスワップウォレットに「Robinhood Connect」統合、ロビンフッド内の資金で暗号資産購入可能に

「ユニスワップ(Uniswap)」のモバイルアプリ「ユニスワップウォレット(Uniswap Wallet)」にオンランプ機能「ロビンフッドコネクト(Robinhood Connect)」が統合され、同アプリではロビンフッド内の資金で暗号資産(仮想通貨)の購入が可能となった。このことはユニスワップが4月29日発表した