米サークル「USDC」、クロスチェーン転送とArbitrum、Optimism、NEAR、Polkadot、Cosmosにネイティブ対応へ

Converge22で「USDC」に関するアップデート発表

米サークル・インターネット・フィナンシャル(Circle Internet Financial)が、同社発行の米ドルステーブルコイン「USD Coin(USDC)」に関する2つのアップデート情報を9月28日公開した。サンフランシスコで開催中のサークル主催のカンファレンス「Converge22」内で発表されている。

「USDC」は米ドル(USD)と1:1の比率で価値を維持(ペッグ)しているステーブルコイン。ステーブルコインの中では第二位の時価総額となっている。なお第一位はテザー社の「USDT」だ。

今回サークルが発表したのは「USDC」の新たなブロックチェーンへの対応と「USDC」の相互運用性(インターオペラビリティ)をサポートする「クロスチェーン転送プロトコル(Cross-Chain Transfer Protocol)」についてだ。

新たなブロックチェーン対応について

サークルは「USDC」に対応する新たなブロックチェーンとして、イーサリアム(Ethereum)のL2ソリューションであるアービトラム・ワン(Arbitrum One)およびオプティミズム(Optimism)、ニアプロトコル(Near Protocol)、ポルカドット(Polkadot)、コスモス(Cosmos)の5つのチェーンに対応することを発表した。

2022年末までにアービトラム・ワン、ニアプロトコル、オプティミズム、ポルカドットのネイティブサポートを予定しているとのこと。コスモスについては2023年初頭に対応予定だ。

なお「USDC」は現状でイーサリアム(Ethereum)、ソラナ(Solana)、アルゴランド(Algorand)、アバランチ(Avalanche)、ヘデラ(Hedera)、トロン(TRON)、ステラ(Stellar)、フロウ(Flow)の8つのブロックチェーンがネイティブサポートされている。ちなみにポリゴン(Polygon)についてはブリッジトークンで、現状ネイティブサポートされていない。

サークルの製品担当副社長であるジョアン・レジナット(Joao Reginatto)氏は「マルチチェーンの拡張は、USDC のネイティブアベイラビリティを8つのエコシステムから13に増やすことを目的としており、USDCで構築するブロックチェーン開発者とそのユーザーがクリプト(ブロックチェーン・暗号資産に関する総称)経済内でより大きな流動性と相互運用性を体験できるようにします」とコメントしている。

また同氏は「USDCのマルチチェーンサポートを拡張することで、機関、取引所、開発者などがイノベーションを起こし、信頼できる安定したデジタルドルに簡単にアクセスできるようになります」とも話している。

クロスチェーン転送プロトコルについて

サークルの発表によると「クロスチェーン転送プロトコル」の利用により「USDC」をエコシステム間でネイティブトークンのままに送信できるという。DeFi(分散型金融)などでトークンブリッジを行わずとも「USDC」をエコシステム内の他ブロックチェーンへ移すことが可能になるようだ。同社は同プロトコルにより「USDC」の流動性および、トークンブリッジによりロックされる資産についての断片化を抑制するとしている。

またウォレットやペイメントアプリ、ブリッジプロトコル、金融サービスツールの開発者は「クロスチェーン転送プロトコル」によりシンプルなユーザー体験を提供できるようになり、資本効率を最大化できると説明されている。

なお「クロスチェーン転送プロトコル」は今年後半にイーサリアム(Ethereum)とアバランチ(Avalanche)の両メインネットで稼働する予定とのことだ。

関連ニュース

米サークル、557億ドルに及ぶ「USDC」準備資産の内訳公開

米サークル、「Polygon USDC」対応へ

米ステーブルコイン「USDC」のサークル、SECが捜査

テザー「USDT」、ポルカドット(DOT)上に発行開始

主要なステーブルコインの「リスク」を考察(USDC・USDT・BUSD・DAI・FRAX・MIM)

参考:サークルポリゴン非対応
デザイン:一本寿和
images:iStocks/SiberianArt・artacet

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【12/1話題】KyberSwapのハッカーが完全支配を要求、マイクロストラテジーが880億円相当のBTC購入など

KyberSwap事件のハッカー、報奨金の取引条件として同社完全支配を要求、米マイクロストラテジー、880億円相当のビットコイン追加購入。合計保有数174,530BTCに、グレイスケール、現物BTC投資信託「GBTC」の運用効率化で契約更新、積水化学、蘭ブロックチェーントレーサビリティ「サーキュライズ」と業務提携、ワームホールが約331億円の資金調達、Wormhole Labs設立も、デジタル資産投資プラットフォームのFasset、ドバイでVASPライセンス取得、アニモカブランズが「オープンネットワーク」エコシステムに出資、TON最大のバリデータに、IoT向けDLTプラットフォーム「IOTA」がアブダビに財団設立、約148億円の資金提供も、バイナンス、BUSDのサポートを12月に終了へ

Sponsored

IoT向けDLTプラットフォーム「IOTA」がアブダビに財団設立、約148億円の資金提供も

IoT向け分散型台帳(DLT)プラットフォーム「アイオータ(IOTA)」が、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビに「アイオータ・エコシステムDLT財団」を設立したことを11月29日発表した。なお同財団はアブダビ・グローバル市場(ADGM)に登録された初の初のDLT(分散型台帳)に関する財団とのこと

アニモカブランズが「オープンネットワーク」エコシステムに出資、TON最大のバリデータに

アニモカブランズ(Animoca Brands)が、メッセージングアプリ「テレグラム(Telegram)」開発の分散型プラットフォーム「オープンネットワーク(The Open Network:TON)」の最大のバリデータとなり、TONエコシステムのミニアプリ「トンプレイ(TON Play)」へ出資したことを11月28日発表した