コインベースが米SEC訴訟の取り下げを求める、SECの管轄範囲拡大指摘も

提訴の棄却求める

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、米証券取引委員会(SEC)に対し、提訴を取り下げるよう裁判所に求めた。8月4日に裁判所へ提出された書類により明らかとなった。

またコインベースの最高法務責任者であるポール・グレワル(Paul Grewal)氏は、8月3日の決済会見にて、提訴の棄却を申し立てる意向を示していた。

SECは6月6日、コインベースが証券である暗号資産取引を扱うことで未登録のブローカーとして違法な運営を行い、連邦証券法に違反したとして、同取引所を提訴している。

コインベースは今回提出した書類にて、「SECは、訴状で指摘されたデジタル資産およびサービスの関連取引が、1933年証券法(『証券法』)および1934年証券取引法(『取引所法』)に基づく『投資契約』、すなわち『証券』である場合に限り、この強制執行を行うことができる」と指摘。しかし「法律上、いずれも該当しないため、請求は棄却されなければならない」と主張している。

コインベースは書類にて、「ハウィーテスト」で定義される「投資契約」の特徴は、「事業会社の利益、収入、または資産に対する契約上の権利が購入者に付与されることを示唆することだ」と指摘。

また「コインベースのプラットフォームとコインベースプライム(CoinbasePrime:機関投資家向けサービス)を介した取引は、事業の収入や利益、資産を反映した将来の価値を提供する契約上の約束ではなく、また約束に関与するものでもない」と述べている。

また「SECはコインベースの取引所・コインベースプライム上で行われる、訴状にて証券だと指摘された12のトークンの取引を『投資契約』に該当するとは主張していないし、また主張することはできない。それらは資産売却であり、買い手と売り手の義務は売却時点で解消されるからだ」とコインベースは断言した。

なお「ハウィーテスト」は、米国において特定の取引が、証券取引の定義の一つである「投資契約」に該当するかどうかを判定するテストである。

また提出書類では、リップル裁判の判決についても触れられており、根本的な事実は「今回申し立てられたものと実質的に同一である」と述べられている。

リップル裁判の判決は「リップル社によるXRPの機関投資家向けの販売スキームは『ハウィーテスト』の条件を満たすため未登録証券募集にあたるが、個人向けに販売されるXRPは有価証券ではない」というものだった。

コインベースは、同社提供のステーキングとウォレットサービスが証券取引法に違反しているというSECの主張は、リップル裁判の判決と同様の理由で棄却されるべきだと主張している。

また書類の中でコインベースは、「重要問題法理(Major Questions Doctrine)」についても再度触れ、この提訴によってSECの管轄範囲が大幅に拡大され、暗号資産業界が含まれることになると懸念を示している。

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参考:提出書類コインベース決算会見
デザイン:一本寿和
images:iStocks/ablokhin

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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