米SECゲンスラー委員長、「暗号資産は必要ない」との考え明かす

暗号資産とデジタル資産を痛烈に否定

米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、米国において暗号資産(仮想通貨)は必要ないと考えているようだ。ゲンスラー委員長が6月6日に出演した、米CNBCのビジネス番組「スクワーク・オン・ザ・ストリート(Squawk on the street)」の中で発言した。

番組の中でゲンスラー委員長は「これ以上のデジタル資産は必要ない」と発言。「私たちはすでにデジタル資産を持っているし、デジタル資産はすでに存在する。それは米ドルやユーロ、円と呼ばれるものであり、それらは今やすべてデジタル化されている。すでにデジタル投資だってある」とコメントした。

さらにゲンスラー委員長は、「これらの取引プラットフォームは、自らを取引所と呼んでいるが、多くの機能を混同している」と指摘。「伝統的な金融では、ニューヨーク証券取引所がヘッジファンドを運営し、市場を形成しているのを見たことはない」とし、暗に暗号資産およびその他のデジタル資産を批判した。

またゲンスラー委員長は、暗号資産プラットフォームに対する提訴の遅れについて「杓子定規に物事を進めるには時間がかかる 」とコメント。一方で、投資家はSECがデジタル資産リスクに注意を払っていることを信頼すべきだと主張。

また「投資家は、米国の証券取引法の恩恵を受けている。暗号資産も同様で、これらのプラットフォームや仲介者はコンプライアンスを遵守する必要がある」とゲンスラー委員長は述べている。

バイナンスを提訴

SECは6月5日、海外大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)及び同社CEOであるチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏、及び同社の米取引所バイナンスUS(Binance US)の運営会社を13の容疑で提訴した。バイナンスらは、証券取引所・ブローカー・ディーラー・清算機関の運営を無登録で行い、CZ氏については運営の際に、監督者として登録違反をコントロールしていたとして提訴している。

また訴状でSECは、BNB(ビルドアンドビルド:旧名称バイナンスコイン)、BUSD(米ドルステーブルコインのバイナンスUSD)、SOL(ソラナ)、ADA(カルダノ/エイダ)、MATIC(ポリゴン)、FIL(ファイルコイン)、ATOM(コスモス)、SAND(サンドボックス)、MANA(ディセントラランド)、ALGO(アルゴランド)、AXS(アクシーインフィニティ)、COTI(コティ)などの証券の取引を提供していたことを提訴。

SECは訴状で、これらの暗号資産は有価証券であるとの考えを示していた。

コインベースも提訴

バイナンスの提訴から一夜明けた6月6日、SECは米国最大の暗号資産取引所コインベース(Coinbase)も提訴した。

米NY州マンハッタンの連邦裁判所に提出された訴状の中でSECは、コインベースが少なくとも2019年以降に暗号資産取引を扱うことで未登録のブローカーとして運営をし、投資家を保護する為の開示要件を逃れてきていたと指摘。

また、コインベースが同社プラットフォームや、他のプラットフォームに注文をルーティングする「コインベースプライム(Coinbase Prime)、投資家がコインベースのプラットフォーム外の流動性にアクセス可能な「コインベースウォレット(Coinbase Wallte)と通じて、未登録のブローカーとして営業を続けていたと主張している。

またこのコインべース訴訟の訴状の中でSECは新たに、CHZ(チリーズ)、FLOW(フロウ)、ICP(インターネットコンピューター)、NEAR(ニア)、VGX(ボイジャートークン)、DASH(ダッシュ)、NEXO(ネクソ)も有価証券であると指定している。

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参考:CNBC
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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