セルシウスが買収先にデジタル資産投資会社「Novawulf」を選択、チャプター11終了へ

セルシウスがチャプター11終了へ

破産した暗号資産(仮想通貨)レンディング企業セルシウスネットワーク(Celsius Network)が、買収先としてデジタル資産投資会社の「ノヴァウルフ・デジタル・マネジメント(Novawulf Digital Management)」を選択した。セルシスがニューヨーク南部地区連邦破産裁判所に計画案を2月15日に提出している。

なおこれによりセルシスは、チャプター11(連邦破産法第11章)を終わらせることができる。

計画案によると、「ノヴァウルフ」は130超の入札の中から選ばれたという。セルシスはこの契約を「企業価値を最大化する最高かつ最善のオファー」だと伝えている。

セルシウスの無担保債権者公式委員会は2月15日、「すべての口座保有者に対し、流動的な暗号資産(仮想通貨)の配布」を行うとツイート。また「訴訟信託を設立し、マイニングなどの非流動資産を保有する新会社『Newco』の普通株式を債権者に提供する」と述べた。

また同委員会は、この取引の「最終的な文書が完成しつつある」ともツイートしており、買収に関する最新情報を提供するため、近日中にツイッタースペースでイベントを開催する予定だという。

新会社「NewCo」と今後の計画について

新会社「NewCo」へは「ノヴァウルフ」が全額出資を行うとし4500万ドルから5500万ドルの現金を直接拠出する予定だという。

「NewCo」は、セルシウスの非流動資産・マイニング事業・既存の融資ポートフォリオを引継ぎ、ゆくゆくは暗号資産関連サービスを開発する計画のようだ。

またセルシウス無担保債権者委員会は、「NewCo」は規制に準拠しており、「ノヴァウルフ」が100%所有する公開企業となると強調している。

今後の計画として、口座残高が5,000ドル未満の顧客向けに「コンビニエンスクラス」を作成するとし、「コンビニエンスクラス」所属者はビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)・米ドルステーブルコインのUSDコイン(USDC)で1回限りの分配を受ける資格を得るようだ。

セルシウスは顧客の85%以上がこの「コンビニエンスクラス」に該当すると推定しており、顧客の預金価値の70%を補償できると見積もっている。

また口座残高が多いセルシウスの顧客については、小規模の顧客口座への払い戻しが終了した後、残った暗号資産から支払いを受け、さらに「NewCo」の普通株式を受け取ることになるという。

なおその普通株式は、「ノヴァウルフ」とフィギュアテクノロジーズ(Figure Technologies)との提携により提供が行われる。

フィギュアテクノロジーズの子会社でSECに登録されているブローカー ディーラーのフィギュアセキュリティーズ(Figure Securities)が運営するデジタル証券の代替取引システム(ATS)上で取引できるトークン化された株式として提供されるとのことだ。なおATSはフィギュアの独自ブロックチェーン 「Provenance(プロヴェナンス)」によって開発されている。

セルシウスは昨年7月、「連邦破産法11条」の適用をニューヨークの破産裁判所に申請。裁判所に提出された書類によると、同社の負債額は10億ドルから100億ドル(1350億円から1兆3500億円)の範囲となっており、主要な債権者にはファロス・USDファンド(Pharos USD Fund)、ICBソリューションズ(ICB Solutions)、アラメダ・リサーチ(Alameda Research)などがリストされていた。

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参考:DEBTORS’ STATEMENT WITH RESPECT TO THE STATUS OF THE DEBTORS’ CHAPTER 11 PLAN PROCESS  ・ノヴァウルフFigure
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Pict-Rider・royyimzy

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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