連邦破産法11条申請のボイジャーデジタル、バイナンスUSへ売却へ

連邦破産法申請のボイジャーデジタルがバイナンスUSを売却先に選択

7月に米国で連邦破産法11条の適用を申請した暗号資産(仮想通貨)ブローカーのボイジャーデジタル(Voyager Digital Ltd)が、同社の資産の売却先としてバイナンスUS(Binance.US)を選択したと12月19日発表した。

バイナンスUSの入札額は約10億2200万ドル(約1356.5億円)で、内訳は、現在のボイジャーデジタルの暗号資産ポートフォリオでの市場価値10億2000万ドル(約1354.9億円)と、増分価値に相当する追加対価が2000万ドル(約26.5億円)と発表されている。

今回の入札の目的は、裁判所が承認した支払いとプラットフォームの機能に従って、暗号資産を現物でボイジャーデジタルの顧客に返すことだという。

バイナンスUSはボイジャーデジタルに対し、1000万ドル(約13.2億円)の預託を行い、一定の経費を最大1500万ドル(約19.9億円)まで払戻す取り決めに合意したという。また、1カ月間の延長を条件に2023年4月18日までに取引が完了しない場合、この契約によりボイジャーデジタルは直ちに顧客への価値還元を行うことができるとのことだ。

なおボイジャーデジタルは2023年1月5日の公聴会で、資産購入契約を締結するための破産裁判所の承認を求める予定だ。バイナンスUSへの売却は、破産裁判所の連邦破産法11条承認後、速やかに取引完了できるよう努めるとのことだ。

ボイジャーデジタルは今年7月、連邦破産法11条の適用をニューヨークの破産裁判所に申請したことが明らかになっていた。

連邦破産法11条は再建型の企業倒産処理を規定した条項だ。企業の提出した再建案が裁判所と一定数以上の債権者から認められれば、経営陣を変更せずに企業の再建を行うことができる。

同社の提出書類によると、同社の資産は10億ドルから100億ドル(1350億円から1兆3500億円)の間となっており、負債額も同範囲となっていた。また同社の最大の債権者はアラメダリサーチ(Alameda Research)で、金額は7500万ドル(約101億円)となっている。

関連ニュース

ボイジャー、連邦破産法11条適用を申請

スリーアローズ債務不履行、ボイジャーデジタル発表

スリーアローズ、NYで連邦破産法第15条適応を申請

セルシウス、「連邦破産法11条」適用を申請

バイナンスUSがP2P取引「Pay」提供開始、ユーザー同士が暗号資産の送受信無料に

参考:Voyager Digital Ltd.
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Wiphop-Sathawirawong

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

カルシ、米国向けにセイネイティブの「SEI」と「USDC」入出金に対応

米予測市場プラットフォームのカルシ(Kalshi)で、レイヤー1ブロックチェーン「セイ(Sei)」のネイティブトークンSEIおよび同ネットワーク上の米ドル建てステーブルコインUSDCの入出金が可能になり、同資産を用いたイベント契約取引の資金移動ができるようになった。Xより12月3日に発表されている

シタデル・セキュリティーズ、トークン化証券とDeFiに取引所・証券会社規制の適用を提言。業界側から反発の声も

米大手マーケットメイカーのシタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)が、トークン化された米国株式を取り扱うDeFi(分散型金融)プロトコルに対しても、取引所およびブローカー・ディーラーとしての規制を適用すべきだとする意見書を米証券取引委員会(SEC)に12月2日に提出した