イーサリアム財団がリーダーシップ再編、理事会と経営陣を分割

共同ED体制へ移行

イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)がリーダーシップ構造を大幅に見直した。EFは4月28日に公開したブログにて、新体制の概要を説明している。

財団はこの新体制のもと、戦略的実行、技術的方向性、エコシステム開発のバランスを重視した推進を目指すとしている。

今回のブログにてEFは改めて、シャオ・ウェイ・ワン(Hsiao-Wei Wang)氏とトマシュ・K・スタンチャク(Tomasz K. Stańczak)氏を共同エグゼクティブディレクター(Co-ED)に任命したと発表。

他の主要な管理メンバーとして、組織戦略・採用・育成を担当するバスティアン・アウエ(Bastian Aue)氏、プロジェクト実行・広報・マーケティングを担当するジョシュ・スターク(Josh Stark)氏の2名も発表された。

この4名が、新たな管理体制の中核を担い、戦略的および運営面での実行をリードする。

一方、EFの理事会は、スイス財団としての法的監督責任を果たしつつ、組織の価値と方向性を守る「安全保障理事会」のような役割を果たす。

現在の理事会メンバーは、イーサリアム創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏、財団プレジデントとして対外関係やビジョンの策定を担う宮口あや(Aya Miyaguchi)氏、スイス法務顧問としてコンプライアンス対応を行うパトリック・シュトルヒェネッガー(Patrick Storchenegger)氏、そしてワン氏が理事会と執行部の連携を担う。

ブテリン氏は今後も、イーサリアムエコシステムに対して技術的・知的指針を提供し続ける。

理事会は今後数年間のビジョン、指針、目標をすでに経営陣に共有しており、今後さらに体制を強化していく意向を示している。

EFは、スタンチャク氏とワン氏の共同エグゼクティブディレクター就任について、「従来の枠組みにとらわれない決断」と位置づけた。両名が多忙な時期において互いを補完し合いながら財団をリードする体制を採用した形だ。

任命は4月28日に正式発効し、スタンチャク氏には2年間の任期が設定された。

スタンチャック氏は、イーサリアム基盤インフラ企業であるネザーマインド(Nethermind)の創設者としての活動と、近く発表予定のイーサリアム特化型ベンチャーキャピタルでの関与を継続する予定だ。

またEFは、ワン氏が理事と執行ディレクターを兼務することについて、「研究経験と財団の歴史的背景への深い理解を活かし、取締役会と経営陣の橋渡しとして組織のニーズに応える存在になるだろう」と評価している。

EFは、4月21日に行った別の発表において、今後のイーサリアムのアップグレードに向けて、ユーザー体験の向上とスケーラビリティ(拡張性)への対応を優先事項とする方針を明らかにしていた。

その中でブテリン氏が、今後は研究および探索的な取り組みに専念する意向も表明されていた。

参考:ブログ
画像:Ethereum

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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