イーサリアム財団、研究開発方針を刷新。ヴィタリックは研究専念へ

L1・L2スケーリングを優先

イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)は、リーダーシップ体制の再編を受けて、研究開発の優先順位を見直すと発表した。また、共同創業者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が今後は研究に専念することも明かされた。

EFのエグゼクティブ・ディレクターのトマシュ・スタンチャク(Tomasz Stańczak)氏がXにて4月21日発表している。

スタンチャク氏の投稿によれば、EFは今後予定されているイーサリアムのアップグレードに向けて、ユーザー体験の向上とスケーリング(拡張性)の課題への対応を優先事項として開発を進めるという。具体的には、レイヤー1(L1)およびレイヤー2(L2)のスケーリング、L2間の相互運用性の強化、UX(ユーザーエクスペリエンス)改善などが挙げられた。

またEFは、現在3~5年先の実現が見込まれるプロジェクトを早期化するための方法を模索しているとのこと。「トップ研究者による次世代実行レイヤーやコンセンサスレイヤーなどのイニシアチブに関する発信が、1~2年内の実現に貢献している」とスタンチャク氏は述べている。

その他に今回の発表では、ブテリン氏が今後は研究と探索的な作業に専念することも明かされた。

スタンチャク氏は、「ヴィタリックの時間を日常的な調整や危機対応ではなく、研究と探究のためにもっと使えるようにすることを目指した」とし、「ヴィタリックが洞察の共有や方向性を示す度、長期的なブレークスルーが加速する。RISC-V(リスクファイブ)とzkVMに関する最近の投稿は有望な道を前進させ、プライバシーに関する彼の執筆は、EFの中核的価値観を中心にコミュニティを再編するのに役立っている」と説明している。

ブテリン氏は3月、レイヤー2(L2)のセキュリティとトランザクションの即時確定性を改善するための提案を発表。4月にはL1のプライバシー強化を図る「L1プライバシーロードマップ」および、スケーラビリティの大幅な向上を目指す新提案も公開している。

また先日20日には、現在のスマートコントラクトが実行されるイーサリアム仮想マシン(EVM)を、オープンソースのRISC-V(リスクファイブ)に置き換え、イーサリアムのスケーラビリティを大幅に向上させる提案をブテリン氏は出している。

イーサリアムでは、次期大型アップグレードの「ペクトラ(Pectra)」が5月7日にメインネット実装を控えている。「ペクトラ」ではウォレットのユーザー体験を向上させるアップグレード「EIP-7702」や、バリデーターがステークできる最大量を32ETHから2,048ETHに増加させる「EIP-7251」が主な機能実装となっている。

画像:Ethereum

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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