ヴィタリック、L2セキュリティ向上のための検証システム提案

ヴィタリックが新しいセキュリティ検証システムを提案

イーサリアム(Ethereum)の共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、レイヤー2(L2)のセキュリティとトランザクションの即時確定性を改善するための新しい提案を3月29日に発表した。

この提案では、イーサリアムのL2ロールアップがステージ2に到達するための最適な短期的証明システムアーキテクチャとして、「2-of-3」検証システムを採用することを推奨している。これはロールアップに使用されるアーキテクチャであるOP(オプティミスティック)、ZK(ゼロ知識証明)、TEE(Trusted Execution Environment)を組み合わせて使用するというものだ。

ブテリン氏は、具体的に以下のロジックを用いることが最良の短期証明システムであるとしている。

  • ZK証明者とTEE証明者の両方によって承認された状態ルートは、即時に確定される。
  • ZK証明者またはTEE証明者のいずれかによって承認された状態ルートは、オプティミスティック証明でも明確にその状態ルートが支持される場合のみ、7日後に確定される。
  • オプションとしてセキュリティ評議会が設置し、TEE証明者のロジックをゼロ遅延で更新する権利と、ZKまたはオプティミスティック証明者のロジックを30日の遅延後に更新する権利を与える

このロジックにより、通常時はトランザクションの即時確定性を提供しながら、「信頼を必要としない」証明システムが機能している場合、TEEまたはセキュリティ評議会のような「半信頼的」なものがそれらを上書きできないという要件など、ブテリン氏が提唱するステージ2のL2ネットワークの基準を満たすことが可能だ。また、まだ不安定でありバグの発見により大きな問題が起こりうるZKへの短期的な過度の依存を避けられるという。

なおブテリン氏は、この提案により、マーケットメーカーが注文を送信してからその応答を受け取るまでの時間を1時間またはそれ以下に短縮できるだけでなく、インテントベースのクロスチェーンL2ブリッジの手数料を非常に低く抑えられると述べている。

ちなみにインテントとは、ユーザーの意図に基づいて効率的にアセットを移動させる仕組みのこと。ユーザーが実行したい取引の「意図」のみを設定することで、その「意図」を満たす効率的な取引をユーザーが取引の方法を詳細に指定することなく、自動的に高い効率の経路での取引実行を可能にしている。

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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