ヴィタリック、「シンプルなL1プライバシーロードマップ」提案

ヴィタリックが「シンプルなL1プライバシーロードマップ」提案

イーサリアム(Ethereum)の共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムネットワークのコンセンサスメカニズムへの変更を最小限に抑えつつユーザープライバシーを強化する「シンプルなL1プライバシーロードマップ」を4月11日に提案した。

このロードマップは、4つの主要なプライバシー分野に焦点が当てられている。

具体的には「オンチェーン決済のプライバシー」、「アプリケーション内オンチェーン活動の部分的な匿名化」、「チェーンへの読み取り(RPCコール)のプライバシー」、「ネットワークレベルの匿名化」だ。

提案には、既存のウォレットにレールガン(Railgun)やプライバシープール(Privacy Pools)などの既存のプライバシーツールを統合することや、ユーザーの活動間の公開リンクを減らすために「アプリケーションごとに1つのアドレス」モデルを促進すること、自分自身への送金をデフォルトでプライバシー保護にすることなどが含まれている。

さらに検閲耐性を向上させる「FOCIL(Fork-choice enforced Inclusion Lists)」や、アカウント抽象化(AA)をネイティブ実装する「EIP-7701」の実装、既存のウォレットへの機密性の高いTEEベースのRPCプライバシーの統合、そして技術が整い次第TEEをプライベート情報検索(PIR)に置き換えることなども提案している。また、ウォレットが複数のRPCノードに接続し、理想的には1つのdappにつき異なるRPCノードを使用することも推奨している。

なおTEE(Trusted Execution Environment)とは、ICカードのセキュリティ等の標準技術の策定を行う非営利組織GlobalPlatformが定める技術仕様のひとつで、プロセッサーを通常の実行環境と安全な実行環境に分割することによって、アプリケーションの安全な実行環境を物理的に確保するセキュリティ技術である。

ブテリン氏のビジョンでは、最終的に多くの送金がデフォルトでプライバシー保護され、個々のアプリケーション内での活動は公開されるものの、異なるアプリケーション間での活動のリンクはプライベートに保たれるとしている。

なお同氏だけでなく、イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)の共同エグゼクティブディレクターであるトマシュ・K・スタンチャク(Tomasz K. Stańczak)氏も、スケーリング、L1パフォーマンス向上、UX改善に焦点を当てた簡略化されたロードマップを4月14日に共有している。

スタンチャク氏は、L1上での資産の発行継続、実物資産(RWA)とステーブルコインのサポート、コミュニケーションとセキュリティの改善、目標志向の研究開発の促進を強調している。

また長期的な目標として、AI(人工知能)エージェントの有効化、自律的なマシン、人間と人間のプライバシー、オープンソース社会の構築なども挙げられている。 

 

参考:イーサリアムマジシャン
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
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