ビットコイン、米ドル建てで史上最高値まで急上昇するも急落

ビットコインがドル建てでATH達成、その後急落

ビットコイン(BTC)は3月5日、米ドル建てでの史上最高値を達成する急騰を見せたが、その後急落を見せた。今回の急騰は、米国の投資家による暗号資産(仮想通貨)のスポット(現物)取引への資金注入や、世界的に金利が低下する可能性があるとの見通しによる後押しもあってのことだ。

ビットコインは5日、69,202ドルの高値を付け、2021年11月の史上最高値68,999.99ドルを上回った。米国証券取引委員会(SEC)が1月下旬に11の現物ビットコインETF(上場投資信託)を承認して以来、投資家の関心は高まっている。ただし、その後にビットコインは反転し、直近では7%ほど下落し、63,400ドルとなっている。

暗号資産プラットフォーム「アンカレッジデジタル(Anchorage Digital)」のCEO兼共同設立者であるネイサン・マッコーリー(Nathan McCauley)氏は、「ビットコインの史上最高値は、暗号資産の転換点を示しています。伝統的な機関投資家は一旦手を引いていましたが、今日彼らは暗号資産の強気相場の主要な牽引役としてここに勢ぞろいしています」と述べている。

暗号資産の最近の急上昇は、より多くの機関投資家が長期的な資金を投入することで、2021年よりも足が伸びる可能性がある。

昨年10月以降、ビットコインは160%近く上昇しており、そのうち44%は今年2月だけで上昇したものだ。これは一連の有名企業の倒産やスキャンダルに悩まされ、暗号資産の冬と呼ばれる1年半に及ぶ市場の低迷に陥った2022年とは対照的だ。

ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると3月1日に終了した週、米国の10大スポットビットコインファンドへのネットフローは22億ドルに達し、そのうち20億ドル以上がブラックロックの「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト」に流入したという。

インタラクティブ・ブローカーズ(Interactive Brokers)のチーフ・ストラテジスト、スティーブ・ソスニック(Steve Sosnick)氏は「どのような資産であれ、これだけ上昇すれば、多少の利益確定売りが出るのは普通のことだ」と語っている。

ビットコインと暗号資産全般は、より幅広い投資家からの需要に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)による米金利引き下げの見通しから押し上げられる。投資家はしばしば、より利回りの高い資産やよりボラティリティの高い資産に資金を振り向けるようになる。

RBCキャピタル・マーケッツ(RBC Capital Markets)のアジアFX戦略責任者であるアルビン・タン(Alvin Tan)氏は、「ビットコインの上昇の一端は、全般的にリスクに対するポジティブなセンチメントと関係している。S&P500とナスダックが史上最高値を更新したことでもわかるだろう」と語っている。

また同日、金も6月の米利下げ観測の高まりに端を発した上昇で史上最高値を更新し、さらに1オンスあたり2,100ドルを上回った。

エクイティ・キャピタル(Equiti Capital)のチーフ・エコノミスト、スチュアート・コール(Stuart Cole)氏は、「暗号資産は市場がリスク増大や金利上昇に対するヘッジを考えているときに、金を使う代わりに使われるようになっています。だから、金価格が上昇しているとき、暗号資産が同じように上昇していても不思議ではないと思います」と語っている。

アナリストによれば、ビットコインは4月のいわゆる半減期イベント(4年ごとに行われるプロセスで、トークンの放出速度が半分になり、マイナーに与えられる報酬も半分になる)を控えており、この恩恵も受けたという。

ビットコインの供給量は2,100万枚に制限されており、そのうち1,900万枚はすでに採掘されている。

最近の人気にもかかわらず、多くの投資家にとってビットコインは単にボラティリティが高すぎるため、投機資産以外の何物でもなく現実世界での応用も十分ではない。しかしETFへの資金流入、ビットコインの供給が制限される見通し、そして最終的な米国金利の低下に加え、暗号資産を企業の財源に加える企業も出てきている。

月曜日には、テザー社が発行するドルペッグのステーブルコイン「USDT」の発行数が初めて1000億ドルを超えた。「USDT」は、1ドルの価値を一定に保つように設計されたステーブルコイン。ビットコインやイーサリアム(ETH)等、他の暗号資産のように価格変動にさらされることなく、暗号資産として資金を移動させる手段として広く利用されている。

世界第2位の暗号通貨であるイーサリアムの最終取引価格は3,486ドルで、現在2021年11月につけた過去最高値の4,867ドルを大きく下回っている。

「ビットコインのアクティブ・トレーダーのポジションは現在、かなり長いようだ。イーサリアムや他のほとんどのトークンのバリュエーションは、以前のクリプト(ブロックチェーン・暗号資産の総称)サイクルの高値を下回っている。

グレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)のリサーチ・ヘッド、ザック・パンドル(Zach Pandl)氏は、「ビットコインのアクティブ・トレーダーのポジションは現在、かなり長いようだ。イーサや他のほとんどのトークンのバリュエーションは、以前の暗号資産の高値を下回っている」と語った。

また暗号資産関連の株価として、コインベース(Coinbase)は5.4%安、暗号資産マイナーのライオット・プラットフォーム(Riot Platforms)とマラソン・デジタル(Marathon Digital)はそれぞれ9.1%、13.4%安となった。

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※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Bitcoin soars to record high, then tumbles
(Reporting by Hannah Lang in Washington, Amanda Cooper in London and Ankur Banerjee in Singapore; Additional reporting by Bansari Mayur Kamdar and Sinead Carew; Editing by Lisa Shumaker)
翻訳:田村聖次(あたらしい経済)
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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