テラ創設者ド・クオン、上訴に勝利で米国送致が再度却下

NYでの裁判が迫る中

モンテネグロの裁判所が、暗号資産(仮想通貨)起業家のド・クオン(Do Kwon)氏の米国への引き渡し承認を取り消した。モンテネグロ当局が3月5日に発表した声明にて明らかとなった。

韓国籍のド・クオン氏は、2022年5月に破綻したことで、暗号資産市場を揺るがせたステーブルコイン「テラUSD:TerraUSD(UST)」を運営する韓国拠点のテラフォームラボ(Terraform Labs)の元CEOだ。

昨年3月にモンテネグロで逮捕・収監されている韓国籍のド・クオン氏は、テラフォームラボの破綻に関する刑事責任を問うため、米国と韓国から身柄の引き渡しを求められている。

声明によれば、控訴裁は2月20日に同国高等裁判所が下した決定を無効としてクオン氏の米国への身柄引き渡しを却下している。

その理由として控訴裁は、引き渡し請求の順序をめぐる高等法院の決定に明確な理由と事実が欠けていたことを挙げ、身柄引き渡し要求の処理における重大な手続き違反を指摘た。

クオン氏はこれまでにも、米国もしくは韓国への身柄引き渡しに関する控訴審で勝訴している。昨年12月の判決で同氏の米国送致が却下され、同事件はポドゴリツァ簡易裁判所へ差し戻され再審理されることとなった。

今年2月には、ポドゴリツァの高等法院は再び身柄引き渡し請求は有効だとと判断したが、クオン氏はその後再度上訴していた。

また1月から延期されている米証券取引委員会(SEC)によるクオン氏に対する民事裁判は、3月25日にニューヨークで開廷する予定だ。ジェド・ラコフ(Jed Rakoff)米連邦地裁判事によれば、これ以上の遅延はなく、クオン氏の出廷の有無にかかわらず裁判は進行すると述べている。

クオン氏とともにモンテネグロで逮捕されたテラフォームラボの財務責任者(CFO)ハン・チャンジュン(Han Chang-joon)氏は、韓国現地時間の2月6日に韓国へ身柄を引き渡されている。 

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参考:発表(Sudovi Crne Gore)

images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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