SWIFT、「CBDCクロスボーダー決済」の実験に成功

SWIFT、CBDCクロスボーダー決済実験で相互運用性を確認

国際銀行間ネットワークシステムを提供するSWIFT(スウィフト)が、既存の金融インフラ上でCBDC(中央銀行デジタル通貨)およびトークン化された資産のシームレスな転送に成功したことを10月5日に発表した。

SWIFTはトークンの転送に関する複数のプロジェクトに参加しており、そのうち「異なるブロックチェーン間におけるCBDCのクロスボーダー取引」と、「複数のプラットフォームで発行されたトークン化資産の現金決済」の2つの実験に成功したとのことだ。

「異なるチェーン間におけるCBDCのクロスボーダー取引」

このプロジェクトはフランスのコンサル企業キャップジェミニ(Capgemini)と共同で今年5月から実施されていたものであり、米コンセンシス(ConsenSys)のクォーラム(Quorum)と米R3のコルダ(Corda)をベースとした異なるDLTネットワーク間におけるCBDCの転送を検証した。さらにこれらのネットワークと即時グロス決済システムを接続することにより、CBDCの転送と同時に現金決済を行うことに成功したとのことだ。

このプロジェクトにより、SWIFTが異なるブロックチェーン間のクロスボーダー決済におけるゲートウェイの役割を果たし得ることが示されたとのこと。

なおクォーラムとコルダは、エンタープライズ向けのブロックチェーン基盤だ。

「複数のプラットフォームで発行されたトークン化資産の現金決済」

このプロジェクトはシティ(citi)、クリアストリーム(Clearstream)、ノーザントラスト(Nothern Trust)、SETLによって共同で行われたものであり、SWIFTのインフラを介して複数のトークン化プラットフォーム上でトークン化資産の発行、転送などに成功したとのこと。このプロジェクトにより、SWIFTがトークン化プラットフォーム間に相互運用性を提供できることが示されたとのことだ。

これらのプロジェクトの結果についてSWIFTのチーフ・イノベーション・オフィサーであるトム・シュシャック(Tom Zschach)氏は以下のようにコメントしている。

「デジタル通貨とトークンは、将来の支払い方法と投資方法を形作る大きな可能性を秘めています。私たちは包括性と相互運用性を金融エコシステムの中心的な柱と考えており、私たちのイノベーションがデジタルの未来の可能性を引き出すための大きな一歩となると考えています。私たちのソリューションを利用することで、中央銀行は単一のゲートウェイを通じて世界中の他のすべての決済システムに簡単かつ直接接続することができ、クロスボーダー決済の即時かつ円滑な流れを確保することができるようになります」

なおSWIFTは9月28日に分散型オラクルネットワークを提供するチェーンリンク(Chainlink)と提携し、クロスチェーンプロトコルの概念実証を行っていることを発表している。

関連ニュース

SWIFTとチェーンリンク(LINK)、ブロックチェーン間取引に向けた概念実証実施

SWIFT、2022年にトークンアセットの相互運用に関する実証実験開始へ

タイ中銀、リテールCBDC実証実験を年内開始へ

米シティ、BC活用の貿易金融PF「TradeLens」の試験運用完了

BISやイスラエル・ノルウェー・スウェーデンの中銀、CBDC調査プロジェクト開始

参考:SWIFT
images:iStocks/style-photography

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

合わせて読みたい記事

【7/26話題】メタプラネットが「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権、ビットフライヤーがFTX Japanの買収完了など(音声ニュース)

メタプラネット、「Bitcoin Magazine」日本版の独占ライセンス取得、SBI、フランクリン・テンプルトンと日本での共同出資会社設立を正式発表、ビットフライヤー、FTX Japanの買収完了、「Jito」、ステーキングプラットフォーム「ジトリステーキング」のコード公開、英FCAがコインベース傘下のCBPLに強制執行、約450万ドルの罰金課す、米ジャージーシティ、年金基金をビットコインETFに投資へ、マイニングの米マラソンデジタルが1億ドル相当のビットコイン購入、完全HODL戦略を採用、クロスチェーンプロトコル「deBridge」、ガバナンストークンDBR発行へ

Sponsored

【7/25話題】SBIが「ビットコイン現物ETF」取り扱い準備か、DEAと東京電力らがDePINの「ピクトレ」を東京で実証試験へなど(音声ニュース)

SBIがビットコイン現物ETF取り扱い準備か=報道、DEAと東京電力らがDePINコンテンツ「ピクトレ」、東京都の3区で実証試験へ、京東コインリンク科技、香港ドルにペッグのステーブルコイン発行予定と発表、フェラーリが暗号資産決済システムを欧州にも拡大、米国での導入に続き、NTTデジタルとマツモト、卒業アルバムにブロックチェーン活用へ、タイ、デジタル資産配布の登録受付を8月1日から開始。デジタルウォレット政策一環で、農産業のRWAマーケットプレイス「Agridex」、ソラナ上で初の農業取引を決済=報道