米DTCC、デジタルドル決済基盤プロトタイプ構築、二国間実証へ

米DTCCがCBDC運用に向けDLTベースの決済基盤構築

米DTCC(The Depository Trust & Clearing Corporation)が、分散型台帳技術(DLT)を用いて中央銀行デジタル通貨(CBDC)を運用するための決済基盤のプロトタイプを構築したことを4月12日に発表した。

DTCCは証券取引におけるポストトレード業務のインフラ開発を主分野とする金融サービス企業である。

今回発表された「プロジェクト・リチウム」と呼ばれるプロトタイプは、DLT技術を用いてCBDCをどのように運用可能かを明らかにすることを目的としているとのこと。

DTCCはデジタルドルの研究を目的とする非営利団体であるDDP(デジタルドルプロジェクト)と連携し、このプロトタイプ上で現金トークンの二国間決済に関する実証実験を行うことで、以下のようなCBDCのメリットを実現できるかを検証するとのこと。

(1)カウンターパーティリスクの低減と流動性の確保
(2)資本効率の向上
(3)ワークフローの自動化および効率化
(4)現金と証券の受け渡しの保証
(5)規制当局に対する透明性の向上

DTCCの事業戦略担当であるジェニファー・ぺーブ(Jennifer Peve)氏は以下のようにコメントしている。

「DTCCは数年にわたり、金融市場のデジタル化に関する実験、関与、対話を主導しており、プロジェクト・リチウムはDLT、トークン、その他の新興技術の探求における次の大きなステップを意味します」

またDDPの共同設立者兼会長であるクリストファー・ジャンカルロ(Christopher Giancarlo)氏は以下のようにコメントしている。

「CBDCは時間とコストの効率を改善し、中央銀行の資金と決済への幅広いアクセスを提供することができ、しかもデジタル化が進む世界で実際の現金の機能を模倣することができます。米国を裏付けとするデジタル通貨の潜在的な利点と課題を金融界がよりよく理解するためにDTCCが深く関与してくれたことに感謝します」

なおDTCCは金融市場へのブロックチェーンの導入を積極的に進めており、2022年後半には株式精算のためのブロックチェーンプラットフォームのローンチを予定している。

関連ニュース

米国証券保管振替機構(DTCC)の株式精算のためのブロックチェーンプラットフォームが2022年3Qにローンチか

日銀の中央銀行デジタル通貨(CBDC)、概念実証フェーズ2へ

日本取引所グループ、24年度末までにデジタル証券市場を創設へ

米メタ、メタバース向けマネタイズツールをテスト

ブラックロックやフィデリティ、USDC発行元サークルへ4億ドル出資 

参考:DTCC 
images:iStocks/Aleksandr_Vorobev・paitoonpati

デザイン:一本寿和

この記事の著者・インタビューイ

小俣淳平

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

「あたらしい経済」編集部
一橋大学2年生
真面目で温厚な20歳。大学1年生のころにブロックチェーンに出会い、その革新性に衝撃を受け、ブロックチェーン業界に足を踏み入れた。勢いのままに学内で「OneLab」というサークルを立ち上げ、週一で活動している。

合わせて読みたい記事

【4/24話題】香港でビットコインとイーサの現物ETFが月末から取引開始か、メタプラネットが2億円分BTC追加購入へ

香港、ビットコインとイーサリアムの現物ETFを4/30から取引開始か=報道、東証スタンダード上場メタプラネット、ビットコインを2億円分追加購入へ、ソラナのDEX「Jupiter」がモバイル版公開へ、Ultimate Wallet買収で、コインベースの米国外取引所、WIFおよびPEPEを無期限先物取引で取扱いへ、ビットコインL2「スタックス(STX)」、アップグレード「ナカモト」開始、PayPal、環境配慮の「ビットコインマイナー向けインセンティブプログラム」提案、NPOのEnergyWebらと協力で、米リップルラボ、SEC要求の約20億ドルの罰金に異議申し立て、SBI、Web3領域を中心としたコミュニティ「Bto3」創設、イーサリアム「edcon2024 TOKYO」、チケットが無料に