コインベース、ハイパーリキッドUSDC展開の中核役割担う。公式トレジャリーデプロイヤーに

ハイパーリキッドUSDC展開強化、USDHは段階終了へ

米コインベース(Coinbase)が、分散型デリバティブ取引基盤「ハイパーリキッド(Hyperliquid)」におけるUSDCの公式「トレジャリーデプロイヤー」になると5月14日に発表した。

今回の取り組みによって、ドル連動型ステーブルコインUSDCがハイパーリキッドの中核ステーブルコインとして位置付けられることになる。なお、コインベースがトレジャリーデプロイヤーとなり、サークル(Circle)はUSDCの発行・償還およびCCTPなどクロスチェーンインフラを担う技術的デプロイヤーとして参加するとのこと。

コインベースによると、オンチェーン市場では24時間365日利用可能で、即時移転可能かつ高流動性の担保資産が必要になるという。同社はUSDCについて、「オンチェーン資本市場を支える優先的なステーブルコイン」と説明している。

また同社は、「USDCはハイパーリキッド上で急速に成長しており、今回の統合により、これまでで最も深くオンチェーン統合されたステーブルコインになる」と述べている。

今回の移行に伴い、ハイパーリキッド向けステーブルコイン「USDH」を展開するネイティブマーケッツ(Native Markets)は、コインベースにUSDHブランド資産を購入できる権利を付与する条件に合意したとのこと。

USDHは、ネイティブマーケッツが2025年に導入したステーブルコインだ。同ステーブルコインは米決済大手ストライプ(Stripe)傘下のブリッジ(Bridge)が提供する「オープンイシューアンス(Open Issuance)」を通じて発行されていた。また、同ステーブルコインは、ハイパーリキッドのステーブルコイン統合仕様「AQAv1(Aligned Quote Asset v1)」に対応した「ネットワーク統合型ステーブルコイン」として展開されていた。

ネイティブマーケッツは、USDH市場は当面利用可能だが、今後段階的に終了する予定だという。移行期間中、ユーザーはUSDCおよび法定通貨へ手数料無料で交換可能とのこと。

AQAv2で準備資産利回りをプロトコルと共有

今回の発表で注目されているのが、ハイパーリキッドの新たなステーブルコイン統合仕様「AQAv2(Aligned Quote Asset v2)」だ。

AQAv2では、ハイパーリキッド上で流通するステーブルコインの準備資産利回りの大部分を、プロトコル側と共有する仕組みが導入される。ハイパーリキッドのドキュメントによると、トレジャリーデプロイヤーは、同ネットワーク上のステーブルコイン供給に紐づく「コスト調整後準備資産利回り」の大部分(約90%)をプロトコルへ分配する設計となっている。

今回の体制では、前述の通りコインベースがトレジャリーデプロイヤー、サークルが技術的デプロイヤーを担当する。技術的デプロイヤーは、USDCの発行・償還、クロスチェーン転送基盤「CCTP(Cross-Chain Transfer Protocol)」、ネイティブクロスチェーンインフラなどを担う役割となる。

またAQAv2では、トレジャリーデプロイヤーおよび技術的デプロイヤーの双方に50万HYPEのステーキングが求められる。ハイパーリキッドによると、これはステーブルコイン運営主体とプロトコルの経済的整合性を高めるための仕組みだという。

AQAv2は、将来的に、ハイパーリキッド上のHIP-3(ビルダー展開型パーペチュアル市場)やHIP-4(将来の出来事や条件の結果を取引する市場)において、USDCを主要な基準通貨および担保資産としての位置付けを強める可能性がある。

なお、X上の暗号資産(仮想通貨)コミュニティでも、今回の発表について様々な見方が示されている。

プロトコルテスターとして活動するギブノ(giveno)氏は、自身のXアカウントでハイパーリキッドにとって「単なる提携ではなく構造的アップグレード」だと表現している。

同氏は、ハイパーリキッド上には約50億ドル(約7,850億円)規模のUSDC担保が存在しているとしたうえで、AQAv2によるステーブルコイン準備資産利回りの共有によって、ハイパーリキッドがUSDCの準備金利回り収益の一部を同プロトコルの収益源として獲得すると述べている。

また同氏は、ハイパーリキッドがこれまで主に取引手数料収益へ依存していた構造から、ステーブルコイン準備資産利回りという収益基盤を持つことになる点にも注目している。さらに、コインベースとサークルがHYPEをステーキングすることで、プロトコルとの経済的な利害共有が進むとの見方も示した。

参考:コインベースドキュメントネイティブマーケッツ(X)
画像:iStocks/Peach_iStock

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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