オンド、証券権利のオンチェーン管理モデルでSECにノーアクション申請

既存制度を維持したまま、証券権利の一部をオンチェーン化

実世界資産(RWA)のトークン化を手がけるオンド・ファイナンス(Ondo Finance)が、同社の証券関連プロダクトに関する新たな運用モデルについて、米証券取引委員会(SEC)にノーアクションレターを申請したと4月13日に発表した。

今回の申請は、同社の「オンド・グローバル・マーケッツ(Ondo Global Markets)」に関連するもの。特定の証券に関する権利(セキュリティ・エンタイトルメント)をイーサリアム(Ethereum)メインネット上でトークンとして記録・管理するモデルについて、SECスタッフが執行措置を勧告しないことの確認を求める内容となっている。

同社によると、この申請は証券法の変更や新たな枠組みの承認を求めるものではないという。既存の法制度のもとで特定の運用モデルが許容されるかの確認を目的としているとのこと。

同モデルでは、オンドの提供するプロダクト自体の性質は変わらない。米国外投資家に対して米国上場株式やETFへのエクスポージャーを提供するトークン化ノートとしての位置付けを維持するとのこと。

また、原資産となる株式やETFは引き続き既存の法的枠組みおよびカストディ体制のもとで管理され、公式な帳簿・記録も従来通りオフチェーンで保持される。

一方で、一定の条件下において、これらの証券に関する権利がイーサリアム上でもトークンとして表現され、同社のカストディアンであるビットゴー(BitGo)によって管理されるとのこと。

同社は、このオンチェーンでの記録機能の追加により、担保のモニタリングの効率化、発行・償還プロセスの改善、プロダクト全体の照合作業の簡素化などが可能になると説明している。

また、この取り組みは既存の市場構造を置き換えるものではなく、既存プロダクトの運用面の改善を目的としたものと位置付けられている。

なお、SECによるノーアクションポジションは新たな規則を制定するものではない。しかし、特定の条件下での運用に対して執行措置が取られないことを示すものであり、正式なルール整備を待たずに限定的なモデルを進める余地を提供するものとされる。

同社は、既存の法的保護や記録管理の枠組みを維持したまま、オンチェーン技術を限定的に組み合わせることで、規制下におけるブロックチェーン活用の可能性を広げる狙いがあるとしている。

既存金融を前提としたトークン化モデルの位置づけ

今回オンドが示したモデルは、既存の証券発行・管理の枠組みを維持したまま一部機能をオンチェーン化する点が特徴だ。

ナスダック(Nasdaq)が今年3月に発表した、独シュトゥットガルト取引所グループのセトゥリオン(Seturion)との提携も、同様に既存の市場構造を維持しながら、トークン化証券の決済(ポストトレード)領域の効率化を目的とした取り組みとされている。

両者はいずれも、証券そのものの発行や法的記録をオンチェーンに移行するのではなく、既存の制度・カストディ・記録管理の枠組みを前提としながら、一部の機能をブロックチェーン上で補完する設計を採用している。

一方で、オンチェーン化の対象となる領域には違いがある。ナスダックの取り組みは、取引後の清算・決済プロセスの効率化に主眼を置いている。従来は分断されていた欧州の決済インフラを統合し、決済の高速化やコスト削減を図ることが目的とされている。

これに対し、オンドのモデルは、証券に関する権利をオンチェーン上で表現し、担保管理や照合といった運用面の効率化を図るものだ。原資産となる株式やETF自体は、従来通り既存の法的・保管インフラ内で管理される。

このように、両者はともに既存金融との整合性を維持する段階的なトークン化を志向している点で共通する。ただし、ナスダックが市場インフラ(決済)の改善に焦点を当てるのに対し、オンドはプロダクトの運用・記録管理の改善に焦点を当てている点に違いがある。

参考:オンドsec-no-action-letter-request  ・ナスダック
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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