企業間取引業務の自動化に向け、業務負荷軽減の可能性を確認
ディーカレットDCPらが、流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準)とトークン化預金「DCJPY」を活用し、企業間取引における受発注データから債権管理システムへの連携および、決済・入金消込までの自動化に向けた実証実験を実施し、成功したと5月29日に発表した。
今回の実証により、将来的な企業間取引業務自動化に向けて、業務負荷軽減や業務プロセス効率化の可能性が確認されたとのことだ。
今回の実証は、デジタル通貨フォーラムのインボイスチェーン分科会の取り組みとして実施されたもの。発表企業は、ツルハホールディングス、イオンスマートテクノロジー、池田泉州銀行、花王グループカスタマーマーケティング、サイバーリンクス、ミロク情報サービス、ディーカレットDCPの7社。実証には、同分科会から趣旨に賛同する企業を含め、計9社が参加。日立製作所と富士通も含まれている。
インボイスチェーン分科会では、企業間決済における会計サービスや決済サービスの分断、請求・支払業務の非効率性を課題として、ブロックチェーン技術を活用した業界標準システムの構築や、DCJPYによる課題解決の可能性を検討している。
なお今回の実証における各社の役割として、ツルハホールディングスは流通BMSデータを提供し、花王グループカスタマーマーケティングは債権管理システムとの連携結果を考察した。サイバーリンクスはシステムインテグレーターとして流通BMSデータの作成、抽出・変換処理を担い、ディーカレットDCPはブロックチェーン基盤を提供した。
また日立製作所は、システムインテグレーターとしてインボイスチェーンの日立基盤機能開発とAWS環境構築を担当。ミロク情報サービスは債権管理サービスとの連携結果を考察した。池田泉州銀行は銀行視点での助言・考察を行い、イオンスマートテクノロジーは小売流通業の視点から助言・考察を実施。富士通は小売流通業界におけるシステムプロバイダーとして知見を提供した。
流通BMSは、消費財流通業界におけるEDI標準仕様だ。小売、卸、メーカー間で発生する受発注、出荷、受領、返品、請求、支払いなどの取引データを、標準化された電子メッセージとしてやり取りするために用いられる。
DCJPYは、ディーカレットDCPが提供する、銀行預金をブロックチェーンや分散台帳技術によりトークン化したデジタル通貨だ。一般的な暗号資産やステーブルコインではなく、銀行預金をデジタル上で取り扱えるようにする「トークン化預金」と位置付けられている。
実証の概要
企業間の請求・支払業務では、売掛金と入金額、買掛金と請求額の確認、差分の解明・解消などに多くの人的リソースが必要となっている。今回の実証では、EDI利用企業を対象に、流通BMSを利用し、受発注データから支払い、消込までをワンストップで処理する仕組みの検証が行われた。
実証では、ツルハグループが保有する花王グループカスタマーマーケティング向けの受領データおよび返品データを抽出し、インボイスチェーンへ送信。そのデータをもとに商取引トークンを生成し、DCJPYによる支払いを行ったという。その後、インボイスチェーンから債権管理システムの債権データとの照合用の消込ファイルを生成し、机上で債権管理システムと連携できるかが検証された。
検証の結果、受領メッセージと返品メッセージをもとに、指定した締め日までの合算データを生成し、額面通りのDCJPY支払い完了が確認された。またDCJPYでの支払い完了後、債権管理システムとの照合用消込ファイルを生成し、同ファイルに入金消込に必要な項目が含まれていること、対象の債権管理システムで消込できることが机上確認できたとのこと。
これにより、既存の商流システムからDCJPYによる直接支払い処理を行い、債権管理システムへ消込ファイルを連携するワンストップ処理のシステム化可能性が確認されたという。ディーカレットDCPらは、売掛金の消込業務や仕訳・記帳処理などの省力化により、数人月分の業務負荷軽減や業務プロセスの大幅な効率化が見込まれるとしている。
今後は、短期的には現行業務フローを大きく変えない形で、売手側・買手側の経理部門における支払・入金業務の効率化や、売掛金と入金額、買掛金と請求額の確認・差分解消作業の自動化による省人化を目指すという。長期的には、現行業務フローの改革による完全無人化や、財務におけるトレジャリー機能の強化を目指すとのこと。
またEDI利用企業のユースケースにおける機能課題の整理と解決方法の策定を行い、社会実装に向けた議論を重ねる予定とのことだ。
参考:ディーカレットDCP
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