ナスダック、株式トークン化の新設計を来年稼働へ。クラーケンと提携も

ナスダックが株式トークン設計を発表

米証券取引所運営のナスダック(Nasdaq)が、株式トークン化に向けた新設計「株式トークン設計(equity token design)」の立ち上げ計画を3月9日に発表した。

株式トークン設計は、公開企業を中心に据えて株式をトークン化することを目指す取り組みだ。ナスダックの発表によると、トークン化された株式についても発行体が管理権を持ち、既存の規制枠組みや企業株式に伴う権利を維持する設計になるという。

また同取り組みでは、株主総会関連の議決権行使(プロキシ投票)や企業行動(コーポレートアクション)、株主とのエンゲージメントなどのプロセスの近代化も想定されているとのこと。ナスダックは、トークン化を通じて投資家と発行体の関係をより効率的に管理できる「プログラマブルな投資家エンゲージメント」の導入を目指すとしている。

今回の取り組みは、ナスダックが昨年9月に米証券取引委員会(SEC)へ提出したトークン化提案を基盤とするものだ。同提案では、株式証券やETP(上場投資商品)をナスダック市場でトークン化した形でも取引できるようにし、米国の金融市場インフラを担うデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(DTCC)子会社のデポジトリー・トラスト・カンパニー(DTC)を通じてトークン形式で清算・決済する仕組みが提案されていた。

またナスダックは、今回の株式トークン設計がSECによる「トークン化証券に関するスタッフ声明」とも整合する取り組みだとしている。同声明では、証券をトークン化しても連邦証券法の適用は変わらず、実質的に同様の権利を伴う場合は同一クラスと見なされうると整理されている。

なおナスダックは同日、欧州でもトークン化証券のインフラ整備に関する発表を行っている。同社はドイツの証券取引所運営企業グループであるボルセ・シュトゥットガルト・グループ(Boerse Stuttgart Group)が提供するトークン化資産決済プラットフォーム「セトゥリオン(Seturion)」との提携を発表した。ナスダックの欧州取引所群を同プラットフォームへ接続し、トークン化証券の決済インフラの効率化を進めるとしている。

Paywardと連携、オンチェーン市場との接続へ

ナスダックは同時に、暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)の親会社ペイワード(Payward)との提携も発表した。両社は、トークン化株式を規制市場とブロックチェーンネットワークのあいだで移動可能にする「株式トランスフォーメーション・ゲートウェイ(equities transformation gateway)」の設計を進める。

この仕組みでは、ナスダックの規制市場インフラが許可型環境(permissioned)の基盤となり、ペイワードが提供する「xストックス(xStocks)」のフレームワークがブロックチェーン側のインフラレイヤーを担うという。これにより、トークン化株式は規制市場とオンチェーン市場のあいだを移動できるよう設計されているとのこと。

ナスダックによると、このゲートウェイは発行体の権利や規制順守、価格の整合性を維持しながら、金融システムと分散型ネットワークの相互運用を可能にすることを目的としているという。

ナスダックは今後、発行体、移転代理人、規制当局、業界インフラ事業者、市場参加者などと協議を進めながら設計を具体化する予定だ。株式トークン設計および関連する分散型台帳技術(DLT)サービスは、必要な規制審査を前提に、2027年前半からの提供開始が見込まれている。

参考:プレスリリースナスダック・ノルディック
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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