金融商品発行へ前進
米ニューハンプシャー州のビジネス金融機関が発行計画を進めているビットコイン(BTC)担保の地方債に対し、格付け機関ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investors Service)が3月31日に「Ba2」の格付けを付与したようだ。「ブルームバーグ(Bloomberg)」が4月1日に報じた。Ba2は投資適格の最低水準から2段階下に位置する、いわゆる投機的格付けにあたる。
同州による試みは、最もリスクの高い資産クラスとされるビットコインと、最も安全とされる資産クラスのひとつである地方債を組み合わせた、前例のない金融商品だ。
発行体であるニューハンプシャー・ビジネス金融機関(New Hampshire Business Finance Authority:NHBFA)は、2シリーズ合計1億ドル(約158億円)規模の課税対象ビットコイン担保債券の販売を目指している。発行時期はまだ正式に決まっていないが、今回の格付け取得により、実現に向けて大きく前進した。
債券の元利払いはビットコイン担保から得られる収益をもとに行われる。ビットコイン価格が上昇した場合、ボンドホルダーは追加の利益配分を受け取ることができる。一方で、ビットコインの価格が一定の閾値を下回った場合には、ボンドホルダーへの全額償還を目的としてトラストを清算する条項も設けられている。
ムーディーズのレポートでは「ニューハンプシャー州およびいかなる地方自治体の公的資金も、本債券の支払いには使用されない。また発行体には支払い不足を補う課税権限もない」と明記されており、州の財政や納税者への影響は遮断されている。
日々の取引管理はウェーブ・デジタル・アセット(Wave Digital Assets LLC)が担い、カストディアンにはビットゴー・バンク&トラスト(BitGo Bank & Trust)が起用される。ビットコインのマイニングおよびデータセンター企業であるクリーンスパーク(CleanSpark)が調達資金を借り入れ、ビットコイン担保を提供する。
ニューハンプシャー州のケリー・アヨット(Kelly Ayotte)知事は、昨年11月に同機関がこの仕組みを承認した際に支持を表明している。「ニューハンプシャー州が再び全米で初めて新技術を採用したことを誇りに思う。州の資金や納税者のお金をリスクにさらすことなく、本州をデジタル金融のリーダーとして位置づける革新的な取り組みだ」とコメントしている。なお、NHBFAが同取引から得る手数料収入は「ビットコイン経済開発基金(Bitcoin Economic Development Fund)」の創設に充てられ、ニューハンプシャー州内のビジネス成長と金融イノベーション促進に再投資される予定だ。また、正式な債券発行には州知事および州議会の承認が必要とされている。
またニューハンプシャー州は、昨年5月に、州の公的資金の一部をビットコインに投資することを認める「戦略的ビットコイン準備法(HB302)」を全米で初めて制定している。
参考:報道・NHBFAプレスリリース
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