米NY地裁がリップルとSECの共同和解申し立てを却下、和解ではなく判決修正に該当のため

リップルとSECの共同和解申し立てが却下

米証券取引委員会(SEC)原告による米リップル(Ripple Labs)社を被告とした訴訟の和解案承認を求める共同申立書が却下された。米連邦地裁判事アナリサ・トーレス(Analisa Torres)氏が5月15日に命令を下している。

SECとリップルは5月8日、民事制裁金の軽減など、当事者双方による和解案の承認を求める申し立て書を提出していた。

弁護士のジェームズ・フィラン(James K. Filan)氏が5月16日に共有したニューヨーク南部連邦地裁の正式文書によると、提出された申し立ては「和解案」として取り扱うのは不適切であり、すでに下された「最終判決(Final Judgment)」を事後的に修正する申立てに該当すると指摘されている。

さらにこの判決修正は、民事訴訟規則60条(FRCP 60)に基づいて行うべきであり、またそのルールでは当事者たちが「例外的事情(extraordinary circumstances)」の説明や立証をする必要があるとのこと。このため今回トーレス判事は、必要な法的基準を満たしていないとして、和解案承認を求める申立書を却下した。

SECは2020年12月、リップル社が2013年からの7年間で未登録証券として暗号資産(仮想通貨)エックスアールピー(XRP)を販売し、約13億ドル(※当時のレートで1,300億円超)の資金を得たとして提訴。リップル社はXRPはクロスボーダー決済を促進させるために開発された通貨であると主張し、暗号資産業界と規制当局の間で大きな争点になっていた。

その後2023年7月13日には、機関投資家向けのXRP直接販売は証券取引に該当すると判断されたが、取引所を通じて個人投資家に販売されたXRPは証券の販売ではないとの判決が下った。

裁判所はこの件に関して、リップル社に対して約1億2,500万ドルの罰金支払いを命じた。ただしこの額は、SECが要求していた約20億ドルを大幅に下回っており、リップル社側にとって実質的な勝利と受け止められていた。

この裁判所の決定に対し、SECは昨年10月に控訴通知を提出。同月にリップル社は控訴審において、控訴対象ではなかった争点を巡り逆に控訴していた(反対控訴:Cross-appeal)。

今年3月には、リップル社がSECに対して行っていた反対控訴の取り下げに同意。4月には両者が和解案を探る目的で提出した「訴訟手続きの一時中断を求めた共同申請」が裁判所により承認されていた。

そして5月8日にSECとリップルは、和解案の承認を求める申立書を提出した。

なお提出された和解案は、リップル社への制裁金が5,000万ドルとなっていた。当初20億ドルだった制裁金は1億2,500万ドル支払われているが、和解により7,500万ドルがリップル社へ返還されることの承認が求められていた。

また機関投資家向けのXRP販売については、裁判所が命じた「差止命令(injunction)」を解除し、米国内で登録なしに販売する行為を恒久的に禁止する新たな差止命令をリップル社へ下される内容だった。承認されれば同社は今後XRP販売について、登録済み証券形態やReg S(海外販売)を含む新モデルに移行する必要があった。

画像:PIXTA

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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