米SuperstateがDirect Issuance Programsを発表
金融テクノロジー企業のスーパーステート(Superstate)は、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)のブロックチェーン上でトークン化された株式を、米SEC(証券取引委員会)登録の公開企業(上場企業を含む)が直接発行できる新プログラム「ダイレクト・イシュアンス・プログラム(Direct Issuance Programs)」を12月10日に発表した。
このプログラムは、SEC登録の公開企業が、KYC(本人確認)を完了した適格な個人(リテール)および機関投資家に対してトークン化された株式を直接発行できるというもの。購入はリアルタイムの市場価格で実行され、決済はステーブルコインで行われる。最初の発行は2026年に開始される予定だ。
同プログラムにより、企業は既存の登録証券と同じCUSIP(証券識別番号)、議決権、経済条件を持つ追加株式を発行できる。またソラナとイーサリアムの両方のブロックチェーンに対応しており、2025年12月時点で約2,000億ドル(約31兆円)規模のステーブルコイン市場を持つ両チェーンのエコシステムの投資家にリーチできるとのことだ。
発行プロセスでは、企業がまずSECに標準的な登録届出書を提出する。その後スーパーステートのインフラを通じて、KYC認証済みの投資家から直接ステーブルコインを受け取り、トークン化された株式を即座に投資家のウォレットに発行し、同時に企業の株主名簿をリアルタイムで更新するという。
企業側のメリットとしては、引受手数料や販売手数料が大幅に削減されることで資金調達コストが低下し、調達資金の多くを保持できる点がある。また企業は株式発行のタイミングや方法を管理でき、ステーブルコインで即座に資金を受け取れるため、現金決済を待つ必要がないとのことだ。さらに世界中の新しい投資家にリーチできる利点もあるという。
投資家側のメリットとしては、適格な個人投資家と機関投資家が、ナスダック(Nasdaq)やニューヨーク証券取引所(NYSE)の価格以下で新株を直接購入でき、トークン化された株式が即座にウォレットに決済される点がある。これらの株式は投資家名義で記録され、従来の株式と同じ経済的権利やガバナンス権を持ち、許可されている場合はオンチェーンアプリケーションでも使用できる追加のユーティリティがあるという。なお同プログラムでは、大規模な機関投資家と小規模な個人投資家が同じ条件で参加できる公平な環境が提供されるとのことだ。
ダイレクトイシュアンスプログラムスは、オンチェーンのスマートコントラクトを通じて運用されるため、発行契約と投資家に提供されるトークン化株式の両方が、より広範なオンチェーンエコシステムとネイティブに組み合わせ可能であり、準拠したカストディ、決済、ポートフォリオツールが進化し続けるにつれて統合が可能になるという。
スーパーステートは2025年を通じて「オープニングベル(Opening Bell)」プラットフォームを通じてトークン化された上場企業株式の新しい標準を開拓してきた。同プラットフォームにより、パートナー発行企業の株式は従来市場とイーサリアムおよびソラナ上のトークン間でシームレスに移動できるようになっている。
スーパーステートの最高経営責任者(CEO)であるロバート・レシュナー(Robert Leshner)氏は、「投資家と小規模な発行者により良いサービスを提供するためにリセットが必要な時だ」と述べている。
参考:スーパーステート
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