ハッカー集団がBitfinexからの情報流出を主張、CTOが否定

Bitfinexからの情報流出をCTOが否定

海外暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinex(ビットフィネックス)のCTOパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏が、同社の顧客情報が流出したという報道を否定する声明を5月4日および6日に同氏のXアカウントより発表した。

Bitfinexは5月初頭、ランサムウェアグループ(ハッカー集団)の「FSOCIETY(Fソサイエティ)」から、同取引所のユーザーの個人情報にアクセスしたとの主張を受けていた。なお個人情報は、2.5TBにおよぶBitfinex取引所の情報および40万人のものとなる。

「FSOCIETY」の主張の中には、サンプルデータとして22500件のユーザー情報が公開されていた。このサンプルデータのうち、いくつかのメールアドレスとパスワードを用いてログインしようとしたところ、2段階認証の確認の段階まで進んだとの情報も出ていた。

また「FSOCIETY」からは身代金の要求もされており、要求が満たされない場合はすべてのKYCデータも開示するという脅しも要求に含まれていた。

しかしアルドイノ氏は「FSOCIETY」の主張に対し、データはBitfinexから流出したものではなく偽物であるとの声明を発表した。声明によるとサンプルデータのうち、顧客のメールアドレスと一致したものは5000件のみであり、残りは一致していないとのことだ。

また、BitfinexではKYC情報のシステムには厳しい制限を設けているため、関係者であってもKYC情報の全てをダウンロードすることはできないことや、パスワードを暗号化したもののみを保存しているため流出してもパスワード自体が特定されることはないことも指摘している。

こういった背景から、今回の情報流出はBitfinexではなく別のサービスからの流出であり、顧客のメールアドレスとパスワードの使い回しにより一部データがBitfinexのものと一致していただろうと結論付けられた。

なおハッカー集団が要求する身代金の振込先であるアドレスが公開されていないことから、今回の虚偽の主張についての動機が不明であった。しかし、のちに今後のハッキングに対する「投資」を集めることを目的に売名を行ったのではないかという報道がされている。

関連ニュース

参考:Shinoji Research
images:iStocks/JohnDWilliams

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【5/17話題】スラッシュがSlash Vプリカ SHOP開始、SECのSAB121覆す決議案が可決など

スラッシュが「Slash Vプリカ SHOP」開始、暗号資産でVプリカ購入可能に、米上院、SECの暗号資産会計ルール「SAB121」を覆す決議案を可決、インド証券取引委員会、暗号資産取引の監督に前向き、準備銀行とは対照的に、仏証券監督当局、投資家にBybitの無登録営業を警告、KuCoin、ナイジェリアの規制準拠に向け一部サービスを停止、米CME、ビットコイン現物取引の提供検討か=報道、リップル、「XRP Ledger」をコスモスのインターチェーンに接続、マスターカードがカーボンクレジットのトークン化における概念実証完了、スタンダードチャータード銀行らと、DTCC、大手銀行らとファンドのトークン化推進する「Smart NAV」の実証実験完了。チェーンリンク活用で

︎マスターカードがカーボンクレジットのトークン化における概念実証完了、スタンダードチャータード銀行らと

決済大手の米マスターカード(Mastercard)が、スタンダードチャータード銀行香港(Standard Chartered Hong Kong:SCBHK)及びその関連会社と、顧客預金およびカーボンクレジットのトークン化における試験的な概念実証(proof-of-concept pilot:PoC pilot)の完了を5月14日発表した