グレースケールの「現物ビットコインETF」、1900億円超が別ファンドに流出。利確売りはほぼ終了か=JPモルガンアナリスト分析

ビットコイン下落圧力は緩和

JPモルガン(JPMorgan)の最新レポートによると、グレースケール(Grayscale)の現物ビットコインETF(上場投資信託)「グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」の利益確定は、ほぼ終了したようだ。各社が1月25日報じている。

「GBTC」は、1月11日に既存のビットコイン信託をETFに転換して以来、1月25日時点で約43億ドル(約6,353億円)が売却されている。また1月25日にも約4億8700万ドル(約720億円)相当の12,200 BTCが売却されたことが、オンチェーン情報を追跡する為のインテリジェンス・プラットフォーム「アーカム(Arkham)」のデータから確認できる。

JPモルガンのアナリストは1月11日、「最大30億ドル(約4,432億円)のGBTC流出」を予想していたため、今回の数字を見て「GBTCの利益確定売りはすでにほとんど起こっている」と見ているという。

アナリストによると、「GBTC」の投資家による利益の現金化がビットコイン価格の下落を引き起こしたが、下落圧力は脱したとみられるとのこと。

またアナリストは、「GBTC」の手数料が早急に引き下げられなければ、同ファンドは継続的な資金流出に見舞われると指摘。グレースケールの競合にはブラックロック(BlackRock)とフィデリティ(Fidelity)が台頭しており、その2社はグレースケールよりも低い手数料を設定しているため、グレースケールから流出した約13億ドル(約1,921億円)がそちらに流れたという。

またアナリストは、現物ビットコインETFの導入は、ビットコインの価格発見プロセスをより効率的にすると予想。株式などの伝統的な資産クラスにおけるETFの経験を参考にするならば、市場の厚みと流動性を増加させるためだという。

また「GBTC」がカバードコールETFを導入する計画が承認されれば、ファンドだけでなくビットコインのデリバティブ市場にとっても追い風になるだろうとアナリストは述べている。

なおカバードコールとは、「有価証券の買い」と「コールオプションの売り」を同時に行うオプション取引の投資手法。カバードコールETFは、この手法を戦略として組み入れるものである。原資産となる株式や株価指数など(ここではBTC)の水準が短期的に大きく変動しないと予想される時に、当該原資産を保有するとともにコールオプションの売りを組み合わせることで、原資産価格が大きく上昇した場合の収益を限定する代わりに、プレミアム受取による利回りの向上を狙う場合などに用いられるとのこと。

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参考:CoinDeskThe Blockアーカム
images:iStocks/LewisTsePuiLung

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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