フィリピン中銀、ホールセールCBDCの試験運用の年内終了目指す=報道

ホールセールCBDCプロジェクトを再開

フィリピン中央銀行(BSP)は、現在進行中のホールセール型CBDC(中央銀行デジタル通貨)パイロットプロジェクトである「アギラ(Agila)」の年内終了を目指しているようだ。現地紙「GMAニュース」が3月6日報じた。

なおホールセール型のCBDCは、金融機関による大口決済にて利用される目的のもので、反対にリテール型は小売りなど一般で利用される目的のCBDCとなっている。

報道によれば、BSPのマメルト・タンゴナン(Mamerto Tangonan)決済・通貨管理セクター副総裁が、「アギラ」の2024年末までの試験運用完了予定を記者会見にて明かしたという。

BSPによると、ホールセールCBDCは銀行間決済、証券取引、クロスボーダー決済などのために商業銀行やその他の金融機関向けに発行される可能性があるという。

ホールセールCBDCの計画は2022年に発表されたが、CBDCの実験よりも既存のデジタル決済インフラを完成させることを優先したベンジャミン・E・ディオクノ(Benjamin E. Diokno)前総裁の意向により、その後中断されていた。しかし、今回同プロジェクトは再開された格好だ。

タンゴナン氏は、BSPによるCBDCプロジェクトの試験運用は、「この技術が果たして謳われているようなものであるかどうかを評価するため、私たちがよりよい立場で予行演習するためのもの」だとし、6つの国内金融機関とともに金融機関間の決済をテストしていることを明かしている。

パイロットプロジェクトに参加しているのは、BDOユニバンク(BDO Unibank Inc.)、チャイナ・バンキング・コーポレーション(China Banking Corp.)、ランド・バンク・オブ・ザ・フィリピン(Land Bank of the Philippines)、リサール・コマーシャル・バンキング・コーポレーション(Rizal Commercial Banking Corporation)、ユニオン・バンク・オブ・ザ・フィリピン(Union Bank of the Philippines)、マヤ・フィリピン・インク(Union Bank of the Philippines)の6つだ。

タンゴナン氏は、ホールセールCBDCを有価証券決済などのサービスに活用できないかと考えているようで、そうなれば、より多くの投資家が、自身で管理できる金額の証券を、より低い手数料で、購入できるだろうと述べている。

BSPのエリ・レモロナ(Eli Remolona)総裁は、「アギラ」の試験運用が終了するまでに、中央銀行と銀行が、国全体に対するホールセールCBDCの立ち上げ可能性を見極めると伝えている。

関連ニュース

参考:GMAニュース
images:iStocks/Who_I_am

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

合わせて読みたい記事

【7/26話題】メタプラネットが「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権、ビットフライヤーがFTX Japanの買収完了など(音声ニュース)

メタプラネット、「Bitcoin Magazine」日本版の独占ライセンス取得、SBI、フランクリン・テンプルトンと日本での共同出資会社設立を正式発表、ビットフライヤー、FTX Japanの買収完了、「Jito」、ステーキングプラットフォーム「ジトリステーキング」のコード公開、英FCAがコインベース傘下のCBPLに強制執行、約450万ドルの罰金課す、米ジャージーシティ、年金基金をビットコインETFに投資へ、マイニングの米マラソンデジタルが1億ドル相当のビットコイン購入、完全HODL戦略を採用、クロスチェーンプロトコル「deBridge」、ガバナンストークンDBR発行へ

Sponsored

【7/25話題】SBIが「ビットコイン現物ETF」取り扱い準備か、DEAと東京電力らがDePINの「ピクトレ」を東京で実証試験へなど(音声ニュース)

SBIがビットコイン現物ETF取り扱い準備か=報道、DEAと東京電力らがDePINコンテンツ「ピクトレ」、東京都の3区で実証試験へ、京東コインリンク科技、香港ドルにペッグのステーブルコイン発行予定と発表、フェラーリが暗号資産決済システムを欧州にも拡大、米国での導入に続き、NTTデジタルとマツモト、卒業アルバムにブロックチェーン活用へ、タイ、デジタル資産配布の登録受付を8月1日から開始。デジタルウォレット政策一環で、農産業のRWAマーケットプレイス「Agridex」、ソラナ上で初の農業取引を決済=報道