VisaがUSDC決済機能を拡大、ソラナ(SOL)ネットワーク経由で

クロスボーダー決済促進や高速決済も

米決済大手ビザ(Visa)が、新たな加盟店契約会社と提携し、ソラナ(Solana)ブロックチェーン経由で米ドルステーブルコイン「USDC」決済機能を拡張すると9月5日発表した。

なおUSDCは米サークル(Circle)社が発行する、米ドルステーブルコインだ。

ビザはステーブルコイン決済拡大の一環として、加盟店契約会社のワールドペイ(Worldpay)とヌヴェイ(Nuvei)と提携。共同で試験的なプログラムを開始したという。

ビザはサークル社の口座を通じてワールドペイとヌヴェイにUSDC建ての支払い金を送信。両社はその後、USDCでこれらの支払いを加盟店に渡すことができる。これにより加盟店の決済時間短縮が実現するという。

ビザ・クリプト(Visa Crypto)の責任者であるキュイ・シェフィールド(Cuy Sheffield)氏はX(旧Twitter)にて「ビザのトレジャリーおよび決済システムは、1日に数十億ドルの清算、決済、移動を可能にし、優先通貨が発行者から正しい金額で受け取られ、加盟店契約会社に送られるよう管理している」とポストしている。

ビザによれば、こういったプロセスは約15,000の金融機関の間で約25以上の通貨でシームレスに行われているとのことだ。

またシェフィールド氏は「USDCのようなステーブルコインとソラナやイーサリアムのようなグローバル・ブロックチェーン・ネットワークを活用することで、クロスボーダー決済のスピード向上に貢献し、ビザのトレジャリーから資金を簡単に送受信できる最新のオプションを顧客に提供する」と述べ、「ビザは、デジタル通貨とブロックチェーンの革新の最前線に立ち、これらの新技術を活用して、お金の移動方法の改善に貢献することを約束する」と続けている。

クリプトドットコムとUSDCのテストも

ビザは2021年、大手暗号資産取引所クリプトドットコム(Crypto.com)と、USDCをトレジャリー業務内でどのように使用できるかのテストを試験的に開始している。

クリプトドットコムは現在、オーストラリアにおけるビザカードでの決済にUSDCを使用しており、他の市場でもこの機能を展開する予定だという。

また、この試験的な導入以前は、クリプトドットコムのビザカードで購入した国境を越えた商品の決済には、数日を要する通貨変換プロセスと、コストのかかる国際電信送金が必要だったという。

現在、クリプトドットコムはイーサリアム・ブロックチェーンを介してUSDCを、ビザのトレジャリーが管理するサークルの口座に直接、クロスボーダーで送ることができ、国際電信送金の時間と複雑さを軽減するのに役立っていることをビザは報告している。

ステーブルコイン決済に注目

ステーブルコインは価格が法定通貨にペッグされる特性を活かし、発展途上国での送金や貯蓄などに活用されている。

またブロックチェーンとステーブルコインを組み合わせることで、現行の送金システムが抱えるコストの高さや制限の多さなどの問題点を解決する新たなインフラの構築につながる可能性があるとの見方もある。

ビザ・クリプトのシェフィールド氏は、2月5日に開催された「スタークウェア・セッション2023(StarkWare Sessions 2023)」に登壇した際に、ビザがステーブルコイン決済に注目していることを明らかにしていた。

また8月7日には米決済大手ペイパル(PayPal)が、独自の米ドル建てステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」をローンチ。大手金融会社が独自のステーブルコインを発行するのは、これが初の事例となった。

関連ニュース

参考:Visa
デザイン:一本寿和
images:iStocks/StationaryTraveller・iam2mai

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

合わせて読みたい記事

【7/26話題】メタプラネットが「Bitcoin Magazine Japan」の独占運営権、ビットフライヤーがFTX Japanの買収完了など(音声ニュース)

メタプラネット、「Bitcoin Magazine」日本版の独占ライセンス取得、SBI、フランクリン・テンプルトンと日本での共同出資会社設立を正式発表、ビットフライヤー、FTX Japanの買収完了、「Jito」、ステーキングプラットフォーム「ジトリステーキング」のコード公開、英FCAがコインベース傘下のCBPLに強制執行、約450万ドルの罰金課す、米ジャージーシティ、年金基金をビットコインETFに投資へ、マイニングの米マラソンデジタルが1億ドル相当のビットコイン購入、完全HODL戦略を採用、クロスチェーンプロトコル「deBridge」、ガバナンストークンDBR発行へ

Sponsored

【7/25話題】SBIが「ビットコイン現物ETF」取り扱い準備か、DEAと東京電力らがDePINの「ピクトレ」を東京で実証試験へなど(音声ニュース)

SBIがビットコイン現物ETF取り扱い準備か=報道、DEAと東京電力らがDePINコンテンツ「ピクトレ」、東京都の3区で実証試験へ、京東コインリンク科技、香港ドルにペッグのステーブルコイン発行予定と発表、フェラーリが暗号資産決済システムを欧州にも拡大、米国での導入に続き、NTTデジタルとマツモト、卒業アルバムにブロックチェーン活用へ、タイ、デジタル資産配布の登録受付を8月1日から開始。デジタルウォレット政策一環で、農産業のRWAマーケットプレイス「Agridex」、ソラナ上で初の農業取引を決済=報道