イーサリアム大型アップデート「シャンハイ」での実装機能、開発チームが検討合意

「Shanghai」に実装される機能が検討合意

イーサリアム(Ethereum)財団のJavaScript開発チームが、メインネット大型アップグレード「シャンハイ(Shanghai:上海)」で実装する新たな機能について11月24日、検討合意した。なお「シャンハイ」は9月に実施された「マージ(The Merge)」後初の大型アップグレードとなる。

今回検討合意されたのは、コミュニティによって提案されたイーサリアム改善提案(EIP)のうち8つの提案だ。

中心となる「EIP-4844」は「プロトダンクシャーディング(proto-danksharding)」とも呼ばれており、イーサリアムのノードが一時的にオフチェーンデータにアクセス可能にする技術を実装するものである。これによりネットワークスループットが向上し、トランザクション料金の削減やスケーラビリティが大幅改善し、レイヤー2ネットワークがより低コストでトランザクションを発行可能になることが期待されている。

また「シャンハイ」アップグレードで注目されているのは、ビーコンチェーン(PoSのチェーン)にステーキングされたイーサ(ETH)やステーキング報酬の引き出しのロックを解除する「EIP-4895」である。この機能追加にはハードフォークを伴う大型のアップグレードが必要であることが分かっている。

またその他に検討合意された提案には、イーサリアムバーチャルマシン(EVM)に関するアップグレードとなる「EIP-3540」、「EIP-3670」、「EIP-4200」、「EIP-4570」、「EIP-5450」の他、安全性とビーコンチェーンとの相互作用強化の「EIP-2537」がある。

なお「シャンハイ」アップグレードは2023年中に行われることが分かっているが、正確な日程は今のところ決定しておらず、イーサリアム財団によると先日行われたマージ後6か月から1年の間に行われる予定であるという。

また「シャンハイ」アップグレードにあたり各EIPのテストを行う「シャンドン(Shandong:山東省)」テストネットは、10月18日にすでに公開されている。  

関連ニュース

イーサリアム、ステークされたETHの引き出し機能搭載の開発者向けネットワークリリース

イーサリアムがテストネット「Shandong」ローンチ、「Shanghai」アップグレードに向け

【速報】イーサリアム(ETH)メインネット「The Merge」成功、PoSへアップグレード完了

イーサリアム財団、「マージ」に関する8つの誤解について解説

イーサリアムが3つのテストネット廃止へ、PoS移行後に

デザイン:一本寿和
images:iStocks/jaboo2foto・dalebor

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【10/11話題】メタプラネットが今月3度目のビットコイン購入、ユニスワップがイーサL2「Unichain」ローンチへなど(音声ニュース)

メタプラネットが今月3度目のビットコイン購入、10億円相当追加で合計保有数748.502BTCに、ユニスワップがイーサL2「Unichain」ローンチへ、OPスタック採用、米SEC、カンバーランドDRWを無登録で暗号資産取引を行ったとして提訴、ユービーアイソフト、初のweb3ゲーム今月リリースへ。オアシス(OAS)のL2採用で、タイ、投資信託やプライベートファンドによる暗号資産関連商品への投資規制緩和へ、米決済ストライプが「Pay with Crypto」提供開始、、USDCとUSDPで支払い可能に、バビロン、ステーキング上限撤廃で約14億ドル相当のビットコイン集める

米決済ストライプが「Pay with Crypto」提供開始、USDCとUSDPで支払い可能に

決済インフラ提供の米ストライプ(Stripe)が、米ドルステーブルコイン「USDC」を決済通貨として利用できる暗号資産(仮想通貨)決済機能「ペイウィズクリプト(Pay with Crypto)」を提供開始した。「USDC」を発行する米サークル(Circle Internet Financial)の共同創業者兼CEOジェレミー・アレール(Jeremy Allaire)氏が公式Xにて10月10日発表した