ハーモニー「Horizon Bridge」ハッキング犯人、マネーロンダリングを確認

「Horizon Bridge」の流出資金がマネーロンダリング

6月23日に「Horizon Bridge(ホライゾンブリッジ)」をハッキングした犯人が、マネーロンダリングを開始したことが6月27日分かった。「Horizon Bridge」はL1ブロックチェーン「ハーモニー:Harmony(ONE)」上に構築されているトークンブリッジプロトコルだ。

「ハーモニー」の発表によると、犯人はイーサリアムべースのトルネードキャッシュ(Tornado Cash)を利用し、資金洗浄を行っているとのことだ。なおトルネードキャッシュは、受信者アドレスと宛先アドレスの間のオンチェーンリンクを切断し、トランザクションのプライバシーを向上するプロトコルだが、今回マネーロンダリングに利用されたことになる。

「ハーモニー」は今回の被害を受け、25日に犯人に対し資金の返還を訴えかけていた。資金が返還されれば100万ドルの報奨金を犯人に支払う事と刑事責任に問わないことを約束するとしていた。

しかし今回犯人がマネーロンダリングを開始したことから、犯人には資金の返還意思が見られないと推測できる。

資金流出からマネーロンダリングの一連の流れ

6月23日5:30(太平洋標準時)、犯人は合計11件の不正なトランザクション実行し、イーサリアムチェーン上で「Horizon Bridge」から1億ドル相当になる複数種類のトークンを流出させた。

そこから犯人はDEX(分散型取引所)ユニスワップ(Uniswap)でイーサリアムに交換をした。そして別のアドレス「0x1Ec6F83b55C3F4CeFc630442716872BA15f16430」へ18,036.3ETHを移し、その後、そのアドレスから3つのアドレスへそれぞれ約6,000ETHの移動をさせている。

「あたらしい経済」編集部が各アドレスを確認したところ、記事執筆時点(日本時間:6/28 12:40)の約16時間前からアドレスの持つ約6,000ETHの資金がトルネードキャッシュへ100ETHづつ移動されていた。現在2つのアドレスは10ETH未満を残している状況で、トランザクションの更新が止まっていることから、資金洗浄は完了したと思われる。

また3つ目のアドレスでは約6時間前からトルネードキャッシュへの資金移動が始まっており、現在も100ETHづつがおおよそ10分程度の間隔で移されており、マネーロンダリングが進行中であることが確認できた。

「ハーモニー」のコミュニティは、現在有力なブロックチェーン分析企業2社およびFBI(米連邦捜査局)と共にこの事件に関する調査を行っているとしている。

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参考:ハーモニー
デザイン:一本寿和
images:iStocks/noLimit46・M-A-U

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
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