ロンバード、アバランチの「BTC.b」買収。オンチェーン資産インフラの取得は初事例

ビットコイン連動型資産「BTC.b」をマルチチェーン対応へ

暗号資産(仮想通貨)関連の金融インフラを開発するロンバード(Lombard)が、アバランチ(Avalanche)チェーン上のビットコイン資産「BTC.b」とその基盤インフラを買収したと10月31日に発表した。稼働中のオンチェーン資産のインフラが買収されるのは初の事例となる。

ロンバードは、ビットコインを基盤としたオンチェーン資本市場の構築を目指すプロトコル開発企業だ。同社は、ビットコインを担保にした利回り付き資産「LBTC」や、ノンカストディ型のビットコイン運用インフラを提供しており、機関投資家がブロックチェーン上で安全かつ効率的に流動性を活用できる仕組みを整備している。

ロンバードは今回の買収により、BTC.bを単一チェーン資産からマルチチェーン対応の「パーミッションレス・ビットコイン標準」へと発展させる計画だ。今後同資産はロンバードのプロトコル基盤上で統合・運用されるという。

BTC.bはアバランチ上で流通する主要なビットコイン連動型資産で流通額は約5億5,000万ドル(約830億円)に達する。BTC.bは2022年のローンチ以降、アーべ(Aave)やGMXなど主要プロトコルに統合され、アバランチのDeFiエコシステムの中核として利用されてきた。今回の買収によりロンバードはBTC.bの既存ユーザー基盤や流動性を引き継ぎながら、より分散化された形でビットコイン資本市場の拡大を目指す。

ロンバードはBTC.bの買収を通じて、自社が提供する利回り付きビットコイン資産「LBTC」と並ぶ新たな選択肢をユーザーに提供する方針を示した。BTC.bは利回りを伴わないノンカストディ型資産として設計され、LBTCと合わせて、機関投資家や個人投資家がDeFi上でビットコインを活用するための柔軟な選択肢を提供するという。

またBTC.bは今後ロンバードの分散型コンソーシアム(15の独立したデジタル資産機関で構成)によるセキュリティ基盤に移行する予定だ。これによりチェーンリンク(Chainlink)のクロスチェーン通信プロトコル(CCIP)によるブリッジ機能の強化や、準備金監査の透明化、1:1のネイティブBTC裏付けが実現されるとしている。

BTC.bの契約や名称、既存統合は変更されず、既存の保有者やプロトコルに影響はないという。今後はロンバードのプロトコルおよびSDKを通じて、イーサリアム(Ethereum)メインネット、ソラナ(Solana)、メガイーサ(MegaEth)など複数チェーンでの展開が進められ、2024年第4四半期にインフラ移行が完了する見込みだ。

なおBTC.bはロンバードのボールト製品群やSDKにも統合される予定であり、すでにバイナンス(Binance)やバイビット(Bybit)など主要取引所が採用を進めているという。

参考:ロンバード
画像:iStocks/Antiv3D

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