テザーのUSDT、初のフル監査へ向けビッグ4の1社と契約

USDTが初のフル監査へ

ステーブルコイン発行企業テザー(Tether)が、同社初となる完全な独立財務諸表監査の実施に向け、「ビッグ4」と呼ばれる大手会計事務所の1社と正式契約を締結したと3月24日に発表した。なお、具体的な会計事務所名は明らかにされていない。

現在、ステーブルコイン発行体では「アテステーション」と呼ばれる保証報告が一般的だが、テザーはこれを、特定時点の残高確認にとどまらず、財務諸表全体を対象とする「フル監査」へ移行する姿勢を示した。ビッグ4によるフル監査は世界的にも最も厳格な財務評価の1つとされる。

同社によると、この監査は初回監査として金融市場史上最大規模となる見込みだ。デジタル資産、伝統的な準備資産、トークン化された負債を含む複雑な財務構成を対象とするとのこと。

テザーによると、監査に向けた初期オンボーディングは数週間前に完了しており、その過程でで複数の監査法人がテザーのシステム、内部統制、財務報告について包括的な評価を実施したという。また、複数の監査法人が関心を示し、このプロセスに参加したという。

同社はステーブルコインの準備資産の構成強化と最適化を進めており、今後数日中に上場有価証券を移動させる予定だとしている。現在進行中の監査により、準備資産の状況がより詳細に開示される見込みだ。

同社は、ドル連動型ステーブルコイン「USDT」の発行企業として知られる。今回の監査について、USDTが完全に裏付けられ、高い流動性を持ち、世界水準のリスク管理のもとで運営されていることに対する保証を強化する取り組みと説明している。なお、同社はUSDTの時価総額は1,840億ドル(約29.2兆円)超、ユーザー数は5億5,000万人超と述べている。

なお、USDTの準備資産の透明性を巡っては、これまで規制当局や市場で議論が続いてきた。テザーは2021年に米商品先物取引委員会(CFTC)から準備資産に関する表示を巡る問題を指摘され、制裁金の支払いを伴う和解に至っている。その後、同社は準備資産の構成見直しや開示の強化を進めており、コマーシャルペーパーの削減や米国債中心への移行などを実施してきた。

また、テザーは今年、米国市場向けのドル連動型ステーブルコイン「USAT」をローンチしている。USATは、米国の連邦ステーブルコイン枠組み「ジーニアス法(GENIUS Act)」を前提に設計されたステーブルコインだ。

同社は、主力ステーブルコインであるUSDTについても、今後同法への準拠を進める方針を示している。

同社は今回の取り組みについて、透明性や保証、規制対応の準備における体制強化につながるものと位置付けている。

参考:テザー
画像:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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