リップルが全米銀行免許を申請、FRB口座で「RLUSD」準備金の直接保管の計画も

リップルが全米銀行免許を申請

米暗号資産(仮想通貨)企業リップル(Ripple)が、米国内でナショナルバンク(全国銀行)の免許取得を申請していることが明らかになった。同社の最高経営責任者(CEO)であるブラッド・ガーリングハウス(Brad Garlinghouse)氏がXに7月2日投稿した。これは、ステーブルコイン大手のサークル(Circle)による同様の申請に続く動きである。

この動きは、暗号資産企業による規制の明確化と、伝統的な金融システムとのより深い統合を求める取り組みが加速していることを示している。

ナショナルバンクの免許を取得すれば、暗号資産企業は仲介銀行を介さずに迅速な決済とコスト削減が可能となり、さらにこれまで業界が訴えてきた「規制からの排除」という状況に対して制度的な正統性(レギティマシー)を得る手段にもなり得る。

リップルの免許申請は、米通貨監督庁(OCC:Office of the Comptroller of the Currency)の承認が必要となる。OCCの広報担当者は、同庁がリップルからの申請を受理したことを確認している。

またガーリングハウス氏は、同社が米連邦準備制度(FRB)の「マスターアカウント」取得も目指しているとX上で明かした。このアカウントにより、リップルはFRBの決済インフラに直接アクセスでき、「RLUSD」の準備資産を中央銀行に直接預けることが可能になる。

「RLUSD」はリップルが昨年10月にローンチした米ドル連動型ステーブルコイン。「RLUSD」は、最大手の「USDT」や「USDC」に比べて規模は小さいが、それでも主要ステーブルコインのひとつに位置付けられている。コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)のデータによれば、「RLUSD」の時価総額は約4億7,000万ドル(約675億円)となっている。

6月30日、サークルもまた米国内でナショナルトラストバンク(全国信託銀行)の設立申請を行っていると発表した。これは、同社が力強い新規株式公開(IPO)を実施してから数週間後のタイミングとなる。

米上院で「GENIUS法案(The GENIUS Act)」が6月17日に可決されたことを受けて、ステーブルコインの注目度が高まっている。暗号資産業界は、この法案が明確な規制を通じてステーブルコインの利用拡大を後押しする可能性があると主張している。

デジタル資産運用企業グレースケール(Grayscale)のリサーチチームは、7月2日のレポートで「GENIUS法案は、消費者保護と金融安定性に配慮した健全な枠組みを取り入れつつ、米国におけるステーブルコインの普及を支える可能性が高い」と述べている。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Ripple applies for US national bank charter as crypto eyes next frontier
(Reporting by Niket Nishant in Bengaluru; Editing by Sahal Muhammed and Mohammed Safi Shamsi)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:iStocks/Ket4up

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
副編集長
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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