XRP LedgerのEVMサイドチェーン、メインネットローンチ

XRPL EVM SidechainがAxelarとの連携でメインネット稼働を開始

リップル(Ripple)社とピアシスト(Peersyst)が、XRP Ledger(XRPL)上でイーサリアム仮想マシン(Ethereum Virtual Machine:EVM)互換のスマートコントラクト機能を提供する「XRPL EVM サイドチェーン(XRPL EVM Sidechain)」のメインネットローンチを6月30日に発表した。

同サイドチェーンは、相互運用性プロトコルのアクセラー(Axelar)ブリッジを通じてXRPLに接続されており、80以上のブロックチェーンとの相互運用性を実現している。なおピアシストは、2022年頃からXRPL EVMサイドチェーン開発を行ってきた企業だ。

「XRPL EVM サイドチェーン」は、XRPLエコシステムに汎用スマートコントラクト機能を導入する重要なマイルストーンとなる。開発者はイーサリアムとの完全な互換性を保ちながら、XRPLの運用安定性と深い流動性を活用できるようになった。同サイドチェーンでは、XRPがネイティブガストークンとして機能する。

リップルの最高技術責任者(CTO)でXRPL共同創設者のデビッド・シュワルツ(David Schwartz)氏は「XRPL EVMサイドチェーンは、開発者がEVMベースのアプリケーションを展開できる柔軟な環境を提供しながら、XRPLの効率性との接続を維持している」と述べた。ピアシストのCEO兼創設者のフェラン・プラト(Ferran Prat)氏は「XRPがマルチチェーン世界をシームレスに流れる新時代を開く」と語っている。

同サイドチェーンの主要な特徴として、600万以上のXRPLウォレット保有者へのアクセス、イーサリアムの約14秒と比較して高速なブロックタイム、低い取引コスト、1秒あたり1000トランザクションの高スループットが挙げられる。また25以上の企業がバリデーターを運営する堅牢なバリデーターネットワークを維持しているとのことだ。

EVMと互換性があるため開発環境では、開発言語のソリディティ(Solidity)、EVM対応ウォレットのメタマスク(MetaMask)、EVM向け開発フレームワークのハードハット(Hardhat)などの標準的なイーサリアム開発ツールの互換性をそのまま利用可能になっている。またプルーフ・オブ・オーソリティ(Proof of Authority)コンセンサスメカニズムにより高速で低コストなトランザクションを実現し、XRPLへの直接ブリッジを通じて600万以上のウォレットとネイティブ流動性にアクセス可能だ。

ローンチ時点で複数のパートナーが参加しており、インフラストラクチャパートナーとしてオンチェーンオラクルのバンドプロトコル(Band Protocol)、パブリックRPCエンドポイントのグローブ(Grove)、クロスチェーン資産転送プロトコルのアクセラー(Axelar)、公式クロスチェーン転送UIアプリケーションのスクイッド(Squid)が含まれる。さらにアプリケーションパートナーとして、DeFi貸出プロトコルのストローブ(Strobe)、担保付きレバレッジファイナンスのセキュアド(Securd)、デリバティブ取引プラットフォームのヴァーテックス(Vertex)が近日対応予定だ。

なおブロックチェーンツールとしてEVMブロックエクスプローラーのブロックスカウト(Blockscout)と、カスタムインデクシングアプリのゴールドスカイ(Goldsky)も統合されている。開発者は現在、グローブのパブリックRPCエンドポイントとその他のツールを使用してアプリケーションの構築を開始できる状態にあり、ドキュメントは専用サイトで提供されている。

今後はワームホール(Wormhole)など他の主要なクロスチェーン相互運用性プロトコルとの統合も予定されており、35以上のブロックチェーンエコシステムにわたる200以上のアプリケーションとの接続が可能になる見込みだ。

参考:リップルブログ
画像:iStodks/peterschreiber.media

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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