LayerZero、単一ノードで100万TPS達成するEVM実行技術「FAFO」発表

LayerZeroが新技術「FAFO」発表

レイヤーゼロラボ(LayerZero Labs)が、単一ノードでイーサリアム仮想マシン(EVM)互換トランザクションを毎秒100万件以上処理できる新技術「ファスト・アヘッド・オブ・フォーメーション・オプティマイゼーション(Fast Ahead-of-Formation Optimization:FAFO)」を6月26日に発表した。

「FAFO」は、ブロック形成前にトランザクションを並び替えることで最大同時実行性を実現する技術だ。これはブロックチェーン・トランザクション・スケジューラーとしては初の技術となる。データ競合を効率的に検出し、高スループットかつ低オーバーヘッドで並列トランザクション実行をスケジューリングするために、CPUに最適化されたキャッシュフレンドリーなブルームフィルターを使用している。

また同技術は、ラスト(Rust)ベースのEVMクライアント「REVM」と統合され、96コアサーバー上でネイティブETH転送で毎秒112万件、ERC20トークン転送で毎秒56万件以上を処理することに成功したという。これは最先端のシャード実行と比較して91%のコスト削減を実現している。

なお他の多くの高スループット・ブロックチェーン実行クライアントとは異なり、「FAFO」はブロックチェーンに最適化された高性能検証可能データベース「QMDB」を使用する。これによりライトクライアントとゼロ知識証明(ZK)ベースのvAppsのステートレス検証が可能になるという。

「FAFO」のアーキテクチャは、「ParaLyze」、「ParaFramer」、「ParaScheduler」の3つの主要コンポーネントで構成される。「ParaLyze」はmempool(メンプール)内の各トランザクションを前処理して読み書きするストレージスロットのアドレスを近似し、「ParaFramer」はキャッシュフレンドリーなデータ構造「ParaBloom」を使用して競合しないトランザクションをフレームにグループ化する。「ParaScheduler」は各ストレージスロットの先行グラフを計算してストリームからさらなる並列性を抽出する。

なお同技術は、ブロックプロデューサーの選出が合理的に長いタイムスケール(例:EOS、Solana)で発生することを前提としており、vApps、ロールアップ、L1チェーンなど幅広いブロックチェーンアプリケーションと互換性があるとのことだ。

「FAFO」は現在オープンソース化されており、GitHubで公開されている。また詳細な技術論文とベンチマーク結果も公開されており、研究コミュニティからのフィードバックと貢献を求めている。メインネットへのローンチ時期は現状不明だ。

参考:LayerZero
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
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