ソラナ共同創設者が「メタブロックチェーン」構想を提案、複数チェーン間のデータ統合へ

ソラナで複数チェーンデータ統合の新構想

ソラナ(Solana)の共同創設者であるアナトリー・ヤコヴェンコ(Anatoly Yakovenko)氏が、複数のブロックチェーンからデータを集約する「メタブロックチェーン」の構想をXで5月15日に発表した。

この提案によると「メタブロックチェーン」は、イーサリアム(Ethereum)、セレスティア(Celestia)、ソラナ(Solana)など異なるブロックチェーンに投稿されたデータを特定のルールに基づいて単一の順序に統合する仕組みだという。

ヤコヴェンコ氏は、「このシステムにより、各時点で最も安価なデータ可用性(DA:Data Availability)レイヤーを活用できるようになる」と説明している。なおデータ可用性とは、ブロックチェーン上で検証に必要なデータが公開され、必要な時にアクセスできる状態のことだ。

具体的な実装方法として、「メタブロックチェーン」上のトランザクション(MetaTX)が複数のDAレイヤーの最新ブロックヘッダーを参照する仕組みが提案されている。例えば、ソラナに投稿されたMetaTXに、イーサリアムとセレスティアから観測された最新のブロックのヘッダーを含むというものだ。

ヤコヴェンコ氏は、「データの提供費用を安くすることは、他のすべてを安くすることを可能にする。帯域幅は減らせないボトルネックである」と強調し、この提案が大規模なデータセットをオンチェーンで保存することを目指すプロジェクトに特に有用であると説明した。

また同氏は、「ユーザーは、最速のファイナリティや価格の有意の望む方を選択可能になる。マージルール(データ統合のルール)が決定論的である限り、異なるチェーンの混合利用が理にかなう」と述べている。

一方、この提案に対してはセレスティアの開発者ニック・ホワイト(Nick White)氏など専門家から異論も上がっている。具体的には、この概念は新しいものではなく、理論上のメリットが実際には実現されにくいという指摘や、各DAレイヤーのノードを実行する必要があることによる複雑さやコスト上昇の問題が挙げられている。

なお「メタブロックチェーン」が実現すれば、複数のブロックチェーンを横断して開発を行う開発者やロールアップ、アグリゲーターなどに特に恩恵があるとされている。複数チェーンのデータを統合することで、データの追跡が容易になり、全体としてのコスト削減につながる可能性がある。

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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