米SEC委員長、「暗号資産事業者の法順守監視はユーザー保護の一端を担っている」

情報開示の強化求める

米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、SECが警察のように暗号資産事業者の法順守を監視することでユーザー保護の一端を担っていると考えているようだ。同氏がCNBCのトーク番組「スクワークボックス(Squawk Box)」の独占インタビューに5月7日答えた。

同インタビューにてインタビュアーのアンドリュー・ロス・ソルキン(Andrew Ross Sorkin)氏は、ゲンスラー委員長に最近のSEC及び同氏の対応について複数の質問を行った。

ソルキン氏は、SECが米ロビンフッド(Robinhood)にウェルズ通知を送ったあと、ロビンフッドがXにて反論する声明を発表したことを例に挙げ、米コインベース(Coinbase)等もSECの対応に反対する意思を表明していることについてゲンスラー委員長に見解を求めた。

ゲンスラー委員長は「私たちは巡回中の警察官として本当に重要な責任を負っている」とし、暗号資産事業者が法律に従っているかを確認することで、ユーザーに対し開示された情報の提供と一定の保護を提供する役割を担っていると述べた。

また、ロビンフッドの状況について問われたゲンスラー委員長は、どの会社についても話すことはできないとしたが、「暗号資産の分野は、そのいずれかを偏見で判断することなく、これらのトークンの多くは、連邦最高裁判所が解釈したように、この国の法律の下では有価証券だ」との考えを改めて強調した。

イーサリアムは証券か?商品か?

また、「暗号資産市場の基本的な問題」として「イーサリアムが証券か商品か」を問われたゲンスラー委員長は、「基本的な問題は、アメリカの投資家を確実に保護するにはどうすればいいかということだ」と質問を一蹴。「今現在、投資家は必要な情報開示を受けておらず、この中央集権的な市場の中心にいる仲介業者は、ニューヨーク証券取引所には決して許されないようなことをしている」と煙に巻いた。

またインタビュアーはゲンスラー委員長に対し、米コンセンシス(Consensys)がイーサリアムの規制をめぐってSECを提訴したことや、下院金融サービス委員会のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)氏が、ゲンスラー委員長がSECのETHの分類に関する質問に対する回答を拒否したことについて、「これは意図的に委員会の立場を誤魔化そうとしたもの」であり、「イーサ(ETH)を有価証券に分類することは、デジタル資産に対するSECの執行による規制の恣意的で気まぐれな性質を示す新たな例だ」との声明を出したことについて意見を求めた。

ゲンスラー委員長は「私たちは調査をしているかしていないかについては話さない」し、「実際に裁判を起こさない限りは、誰かが法律を守っていないかどうかについても話さない」と述べている。

またゲンスラー委員長は、イーサリアム現物ETFの承認については「今、私たちの委員会で検討されている」とし、委員会は5人の委員で構成されており、それらの提出は適切な時期に行われる予定だとした。

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参考:CNBC
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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