CFTC、イーサリアムを含む暗号資産を「商品」と再度主張、クーコイン提訴訴状の中で

BTC、ETH、LTCなどは「商品」

米商品先物取引委員会(CFTC)が暗号資産(仮想通貨)取引所クーコイン(KuCoin)提訴の訴状の中で、イーサリアム(ETH)を含む複数の暗号資産を「商品(コモディティ)」だと表現している。3月26日に公開された訴状にて明らかとなった。

CFTCは今回、クーコインを違法なデジタル資産デリバティブ取引所の運営で告発している。なおこれは米司法省(DOJ)の提訴に続くものだ。DOJは同取引所及び創業者2名を銀行秘密法に違反したとして刑事告訴している。

訴状の中でCFTCは、クーコインが「ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ライトコイン(LTC)を含むコモディティ(商品)であるデジタル資産を含む先物取引、スワップ取引、レバレッジ取引、証拠金取引、または融資付きリテール取引を勧誘し、注文を受け付け、証拠金となる財産を受け入れ、取引施設を運営していた」と主張している。

これらの行為から、「クーコインはCFTCの権限の範囲内であるため、CFTCに登録し、適用されるすべての規制を遵守する必要があったと」CFTCは述べている。

CFTCは「賠償金、民事罰金、永久取引禁止と登録禁止、CFTC規制の更なる違反に対する永続的差し止め」を求めている。

CFTCとSEC、それぞれの主張

今回のCFTCの発言は、以前からこれら暗号資産を商品だと主張してきたCFTCの考えを、改めて強調するものだ。

昨今、CFTCと米証券取引委員会(SEC)はデジタル資産をどの機関が規制すべきかについて、「縄張り争い」を繰り広げてきた。

CFTCのロスティン・ベーナム(Rostin Behnam)委員長は昨年3月、上院農業委員会公聴会にてステーブルコインとイーサリアム(ETH)はコモディティ(商品)だと主張。同月に暗号資産取引所のバイナンスドットコム(Binance.com)及び同社前CEOのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao:CZ)氏、同社元最高コンプライアンス責任者のサミュエル・リム(Samuel Lim)氏を商品取引所法および特定の関連連邦規制に違反したとして提訴した。

なおバイナンスは12月、13.5億ドル(約2,000億円)、CZ氏も1億5000万ドル(約214億円)の罰金を支払う形でCFTCと和解している。

また同年12月にCNBCのトーク番組「スクワークボックス(Squawk Box)」に出演した際にもベーナム氏は「現行法では、トークンの多くは商品に該当する」と述べている。

一方でSECは、多くの暗号資産が「有価証券」であるという考えを主張。

1月10日に現物ビットコインETFを承認した際にもSECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、「以前から申し上げているように、特定の暗号資産に偏見を持つことなく、暗号資産の大部分は投資契約であるため、連邦証券法の対象となる」との意見を貫いている。

また業界では現在、現物イーサリアムETFの承認可否判断に注目が集まっている。

SECは今までイーサリアムを有価証券として分類していないが、ここ数日のSECの動きとして、SECがイーサリアム財団の複数の関連企業に対し、イーサリアム財団との取引に関する文書や財務記録の提出を求める召喚状を送っていたことが複数メディアによって報じられている。

SECは、イーサリアムブロックチェーンが2022年9月に「プルーフ・オブ・ステーク」にガバナンスモデルを変更したことを理由に、イーサリアムを証券として定義しようとしている模様だ。

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参考:CFTC・訴状
images:iStock/Svetlana-Borovkova・YayaErnst・JHVEPhoto

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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