EU、域外の暗号資産企業に対する厳格な制限強化=ロイター

限定的条件下でのみサービス提供が可能

欧州証券市場庁(ESMA)が1月29日に提案したところによると、EU域外に拠点を置く暗号資産(仮想通貨)企業は、不公平な競争を避けるため、極めて限定的な条件下でのみEU域内の顧客に直接サービスを提供できるようになるという。

EUは昨年、暗号資産市場規制法案(MiCA/マイカ)として知られる暗号資産市場に関する世界初の包括的な規則を承認したが、これは国境が取り締まりにくいオンライン分野では画期的な動きだった。

暗号資産企業や規制当局が実際にこの法律をどのように適用すべきかに関する最新のEUの提案は、EU圏内の物理的な拠点からではなく、EU圏の顧客に直接サービスを提供したいEU域外の暗号資産企業を対象としている。

ESMAは声明の中で、「提案されているガイダンスは、ESMAの従来のメッセージを再確認するものだ。それは、MiCAにおいては第三国の企業による暗号資産サービスの提供は、顧客がサービスの独占的な発起人となる場合に限定されるというものである」と述べている。

顧客がサービスを開始することは「逆勧誘:reverse solicitation」として知られ、EUの政策立案者がEU域内に支店や子会社を開設するよう外国企業に圧力をかけるなど、他のEU金融法でも見受けられる概念である。

「この適用対象は非常に狭い範囲に限定されており、例外とみなされるべきである」とESMAは述べている。

この提案は4月末まで公開協議が行われ、遅くとも2024年末までには最終文書が提出される予定だ。 ・ESMAとEU各国の規制当局は、「EUに拠点を置く投資家とMiCA準拠の暗号資産サービス・プロバイダーを、非EUおよび非MiCA準拠の事業者による不当な侵害から積極的に保護するために、必要なあらゆる措置を講じる」と述べている。

ESMAは、第三国企業によるEU域内への実際の勧誘(27カ国でマーケティングキャンペーンを実施することを含む)は禁止されていると述べた。

ESMAは、非EU加盟国は、最初の取引と同じ文脈でない限り、その後にさらなるサービスを提供するためにこの適用除外を利用することはできないと付け加えた。

提案されている2つ目のガイダンスは、暗号資産が株式や債券のような「金融商品」とみなされ、MiFIDの別個の規制下に置かれる可能性がある状況を示している。

さらにESMAは同日、別のコンサルテーション・ペーパー(提案)を発表。そちらでは金融商品としての暗号資産に焦点を当てている。

「暗号資産が金融商品に適用される他のEUの法的枠組みの範囲に含まれない場合、そのような暗号資産はMiCAの枠組みの対象となる可能性が高いが、自動的に対象となるわけではない」と、述べられている。

しかし、MiCAはすべての「暗号資産」を対象としているわけではなく、ESMAはNFTは規制枠組みの「対象外」であるとしている。

ESMAは両提案に関するパブリックコンサルテーションを4月末まで募集している。ESMAはMiCAに従い、12月下旬までにガイドラインを発行する予定だ。

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参考:コンサルテーション・ペーパー 

EU reinforces tight limits on crypto firms from outside bloc
Reporting by Huw Jones; Editing by Alexander Smith
翻訳:髙橋知里
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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