欧州銀行監督機構、ステーブルコイン基準の早期導入を要請=ロイター

MiCA施行に先駆け

欧州連合(EU)の銀行監視当局は7月12日、1年後に施行予定の暗号資産(仮想通貨)市場規制法案(MiCA/マイカ)に先立ち、リスク管理と消費者保護に関する「指導原則」を自主的に順守するよう、ステーブルコイン発行者に促した。

EUは4月にマイカを承認。これはビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような暗号資産の取引や、通貨や資産に裏付けられた暗号資産であるステーブルコインの発行に関る世界初の包括的なルールである。

欧州銀行監督機構(EBA)は7月12日、2024年6月30日に発効するマイカの要件を具体化するための第一弾の対策を公開協議するために公表した。

その中には、永久的な換金権や苦情処理規則などの規定が含まれている。

EBA関係者は、マイカが承認された今、今後数ヶ月の間にステーブルコインの発行が相次ぐと予想。企業に対し、マイカの施行に先立ち、優れたガバナンスとリスク管理に関する指導原則を利用するよう呼びかけている。

EBAは声明にて、「この声明は、マイカの適用に向けたタイムリーな準備行動を奨励することを意図している。その目的は、後の段階で潜在的に破壊的で急激なビジネスモデルの調整リスクを軽減し、監督当局の収斂を促進し、消費者の保護を促進することである」と述べた。

これとは別に、EUの欧州証券市場庁(ESMA)は、暗号資産を取引するいわゆる暗号資産サービス・プロバイダー(CASPs)に関する規則案を発表した。

公開協議のために提案された規則は、CASPsを認可し、顧客の暗号資産と取引の分離を保証し、米国の暗号資産取引所FTXの破綻などの出来事から得た教訓を活かし、企業と顧客の資金の「混同」を避けることを目的としている。

ESMAの規則は2025年1月に施行される。なお裏付けのない暗号資産に投資し、資金を失った顧客に対する補償制度は含まれない予定だ。

EBAは、ステーブルコイン発行体の資本要件と、ストレス市場におけるステーブルコインの償還に企業がどのように対処すべきかに焦点を当てた規則案の第2弾を10月に発表する予定である。

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参考:EBA
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
EU watchdog calls for early adoption of stablecoin standards

Reporting by Huw Jones; Editing by Paul Simao
翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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