グレイスケール、米SECのボラティリティ型ビットコインETF承認に抗議

SECが恣意的に現物ビットコインETPを差別していると非難

暗号資産(仮想通貨)運用会社グレイスケール(Grayscale)が、現物(スポット)ビットコイン上場投資信託(ETF)の承認拒否を続ける米証券取引委員会(SEC)に抗議している。グレイスケールがワシントンD.C.の連邦控訴裁判所の書記官に充てた書簡にて7月11日明らかとなった。

なお今回の書簡はグレイスケールの代理人を務める弁護士の一人であるドナルド・ベリリ(Donald Verilli)氏によるものだ。

SECは6月、レバレッジ型ビットコイン先物ETFを米国において初めて承認した。SECによって承認されたのは、米ボラティリティシェアーズ(Volatility Shares)による「2x Bitcoin Strategy ETF」。2倍のレバレッジを効かせたビットコイン(BTC)の先物を運用するETFとなる。同ETFは「CBOE BZX Exchange」にティッカーシンボル「BITX」にて上場。6月27日より取引が開始されている。

今回ベリリ氏は書簡にて、「SECがレバレッジ型ビットコイン先物ETP(上場取引型金融商品)の取引開始を許可したという事実は、SECが恣意的に現物ビットコインETPをビットコイン先物ETPとは異なるものとして扱い続けていることを示している」と述べている。

また同氏は、「2x Bitcoin Strategy ETF」が、グレイスケールが申請した現物ビットコインETPよりもさらに多くのリスクにさらされていると指摘。

「現物ビットコインETPに対するSECの差別的態度」を排除する唯一の方法は、「申請されている現物ビットコインETP」を承認することだと述べている。

なおグレイスケールは7月11日のツイートにて、「2倍レバレッジのビットコイン先物ETFは、S&P CMEビットコイン先物日時指数(S&P CME Bitcoin Futures Daily Roll Index)のパフォーマンスを毎日2倍にすることを目標にレバレッジを採用している。これにより、投資家は従来のビットコイン先物上場商品よりもさらにリスクの高い投資商品にさらされることになる」と述べている。

ちなみに米国において初めてレバレッジ型ビットコイン先物ETFが承認されたことにより、今まで承認が下りなかったビットコイン現物ETFが取り扱われる布石になるのではないかと話題になっていた。

過去にSECを提訴しているグレイスケール

グレイスケールは昨年10月、同社のビットコイン現物ETFの申請を拒否したSECを提訴している。

グレイスケールは2021年10月に同社が運営する世界最大のビットコインファンド「グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」をETFに転換する案をSECに申請。しかしSECは2022年6月にこの申請を却下していた。

グレイスケールは意見書面にて、「SECは適切な理由なくビットコイン先物取引商品とビットコイン現物取引商品を区別して扱っており、この命令に一貫性や合理性が無いこと」と、「SECがETFへの転換案を却下した命令は、恣意的かつSECの法的権限を逸脱していること」を争点として挙げていた。

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    髙橋知里

    「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
    同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
    同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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