バイナンスUSのボイジャー買収提案、米連邦破産裁判所が承認

バイナンスUSのボイジャー買収提案が承認

破産した暗号資産(仮想通貨)レンディング企業ボイジャーデジタル(Voyager Digital)の買収に関するバイナンスUS(Binance.US)の提案が許可された。米連邦破産裁判所が3月7日に承認したことを各社が報じたことにより、明らかになった。

これはボイジャーの再建計画の一部として承認されたもので、バイナンスUSは、ボイジャーへ現金2000万ドル(約27億円)を支払い、ボイジャーユーザーから預かっていた暗号資産を引き継ぐことに合意したという。

この買収提案については1月5日、米証券取引委員会(SEC)が一部異議を申し立てていた。バイナンスUSが提出した売買契約書へ取引完了能力に関する詳細が欠けていたためだ。SECは取引後のバイナンスUSの事業運営に関する詳細情報を求めていた。

その後1月9日に開催された公聴会にて、ボイジャーが提出したバイナンスUSの支払い能力に関する情報を連邦地裁判事が承認。ボイジャーは1月10日、バイナンスUSへの約10億ドル(約1376億円)の資産売却案について、裁判所より承認を受けていた。

今後について

なお判事によると、同買収は最終決定したわけではないという。

ボイジャーの財務アドバイザーによれば、買収にあたりバイナンスUSの規制遵守状況・顧客預金の安全性に関する課題を検討するため、最大で4週間が必要だという。

また対米外国投資委員会(CFIUS)も、同買収を米国国家安全保障上のリスク面から調査中とのことだ。CFIUSは現在、バイナンスUSのボイジャー買収に異議を唱えていないが、調査結果次第で取引差し止めの可能性もあるとしている。

なおバイナンスUSは、拠点が米国にあり、親会社のバイナンス(Binance)からは完全に独立した存在だと主張している。なおバイナンスは、米国検察当局によるマネーロンダリング調査の対象になっている。

ボイジャーは、TerraUSDとLunaが暴落し、暗号資産業界に衝撃を与えた数カ月後の昨年7月に破産を申請。昨年12月に、同社資産の売却先として、バイナンスUSを選択したと発表していた。なおボイジャーは当初、FTXトレーディングに資産を売却する予定だったが、昨年11月にFTXが顧客の出金騒動と詐欺疑惑で倒産し、創業者のサム・バンクマン=フリード(Sam Bankman-Fried)氏が逮捕されたため、この取引は白紙になっていた。

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デザイン:一本寿和
images:iStock/taa22

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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