Dfinity財団、ICPとビットコイン(BTC)ネットワークの統合完了を発表

ICPとビットコイン(BTC)ネットワークが統合

分散型クラウドサービス「インターネットコンピューター(ICP:Internet Computer Protocol)」のメインネットと、ビットコインネットワークの統合完了が12月6日発表された。

ICPは、イーサリアム(Ethereum)など一般的なブロックチェーンとは違い、例えばAWS(アマゾンウェブサービス)のようなクラウドコンピューターとしての側面を持つブロックチェーンとして開発された、スイス拠点の非営利団体ディフィニティ財団(Dfinity Foundation)主導のプロジェクトだ。またICP上のアプリケーションは、高速で動作するウェブ用プログラミング言語である「WASM(Web Assembly)」にコンパイルされ、処理を行うという特徴を持っている。

今回ICPがビットコインネットワークと統合したことにより、ICP上のスマートコントラクト(ICPはキャニスターと表現)がネイティブにビットコインを保持・送受信できる、ビットコインのレイヤー2として機能出来るようになったとのこと。ICP上のキャニスター(WASMをコンパイルしたバイトコードのまとまり)がビットコインの送受信に対応するため、ユーザーはネイティブのビットコインを直接ICP上で扱えるようになったとのことだ。

ネイティブのビットコインを直接扱えるメリットは、様々なブロックチェーンでしばしばハッキングの対象となっている「トークンブリッジ」の工程を挟まなくても良い点だ。セキュリティレベルが高いまま、ビットコインを扱えることになる。

これによりユーザーはセキュリティを損なわないまま、ビットコインを用いた分散型アプリケーション(Dapp)が構築可能になったという。

なお「ブリッジ」とは、異なるブロックチェーン間でトークンを移動させること。これまではブリッジプロトコルにより「ラップドトークン」を新たに発行することで、擬似的にビットコインを扱っていた。ちなみにラップドトークンは、発行元に元のトークンがロックされ、転送先のネットワークで同量のラップドトークンを発行するという仕組みで作成されている。これを行うスマートコントラクトにバグや脆弱性が発見され、ハッキングにあう事件が度々起こっている。

ディフィニティ財団のエンジニアリング ディレクターであるマヌ・ドライバース(Manu Drijvers)氏は「ブロックチェーンは壁に囲まれた庭のようなもので、相互にやり取りすることはできません。これがビットコインに関して言えば、DeFi(分散型金融)アプリケーションなど、世界最大の暗号資産とやり取りすることで最も恩恵を受ける可能性のあるアプリケーションには、そうする能力がありません。

ICPとビットコインの統合は、業界にとって真のゲームチェンジャーであり、ついにスマートコントラクト機能をビットコインにもたらし、ビットコインを使用してこれまで不可能だったDeFiとDapp開発の全く新しい状況を可能にします。開発者がこの革新的な機能をどのように操作するかを見るのが非常に楽しみです」と公式ミディアムで語っている。

関連ニュース

クラーケングローバル、DFINITY「Internet Computer(ICP)」上場へ

DFINITY財団「Internet Computer(ICP)」、ビットコインへの接続予定を発表

DFINITY、インターネットコンピューター(ICP)上でNFT1万個を無料配布

Dfinity財団、ICPトークンが未登録証券と訴訟受ける

ビットフィネックス、Internet Computer(ICP)の取扱開始

参考:ICP
デザイン:一本寿和
images:iStocks/your_photo

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【11/29話題】金融庁が無登録の海外暗号資産取引所に警告、リミックスポイントが15億円で暗号資産購入を予告など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米裁判所、「トルネードキャッシュ」に対する米国の制裁を覆す

米財務省が2022年に暗号資産(仮想通貨)のミキシングプラットフォームの「トルネードキャッシュ(Tornado Cash)」に制裁を課し、北朝鮮のハッカーやその他の悪意あるサイバー犯罪者による70億ドル以上の資金洗浄を支援したと非難したが、これは財務省の権限を越えた行動だったと米控訴裁判所は判決を下した

イーサL2「Starknet」、ガバナンストークン「STRK」のステーキングを正式ローンチ

イーサリアム(Ethereum)のレイヤー(L2)スケーリングソリューション「スタークネット(StarkNet)」で、ガバナンストークン「STRK」のステーキングが正式に開始された。スタークネットの開発等を主導するスタークネット財団(Starknet Foundation)が11月26日発表した。これはL2上で直接ステーキングを導入した初の事例とのこと