バイナンス、ペッグ不安定による混雑受け、テラ(LUNA)とテラUSD(UST)出金を一時停止

バイナンスがLUNAとUST引き出しを一時停止

大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(Binance)が、テラ:Terra(LUNA:ルナ)およびテラユーエスディー:TerraUSD(UST)の出金を一時停止したことが分かった。

発表によると、当該暗号資産の保留中の引き出しトランザクションが多くなったため、5月10日AM2:20(UTC:世界協定時)より一時的に停止する対応を行ったという。

バイナンスは、出金一時停止の理由をテラネットワークの速度低下と混雑としている。

なお再開については、「ネットワークが安定し、保留中の引き出しの量が減少したと判断した時点」と説明しており、改めてアナウンスはしない予定とのことだ。

TerraUSD(UST)は5月9日、1ドル=1USTの価格を16時間以上維持できなくなった。USTのペッグが不安定になれば、USTを活用したDeFiなどそのエコシステム全体に大きな影響を与えることが懸念されている。

今回のバイナンスの対応は、USTのペッグが不安定になったことを発端に、多くのユーザーが引き出しを行ったことが要因と思われる。

USTは、テラフォームラボ(Terraform Labs)が開発するアルゴリズム担保型ステーブルコインだ。USTはテラフォームラボが発行するトークン「LUNA」の取引によって、1ドル=1USTの価格が安定できるように設計されている。

USTとLUNAの需要と供給のバランスを調整することで、1ドル=1USTの価格を保つ仕組みだ。またUSTはビットコインをステーブルコインの準備金として利用している。

USTとLUNAはステーブルコイン発行のためのブロックチェーン「Terra」を基盤に運用されている。なお「Terra」はコンセンサスの仕組みとして「Tendermint」のデリゲート・プルーフ・オブ・ステーク (DPoS)を採用している。DPoSは、通貨の保有者に対して保有量に応じた投票権を割り当て、投票によって取引の承認を委任するコンセンサスアルゴリズムだ。

なおUSTのペッグが不安定になった理由については明らかになっていない。テラフォームラボの創業者兼CEOのDo Know氏はツイッターで「これから7日間でUSTのペッグの課題に対応します」と9日ツイートしている。

なお記事時点では、現状も1USTが1ドルを大きく下回っており、ペッグの安定が見られない状況が続いている。

関連ニュース

アルゴリズム担保型米ドルステーブルコイン「TerraUSD(UST)」、ペッグ不安定に

バイナンス・a16z・フィデリティら、イーロンマスクのツイッター買収をサポート

バイナンス、ウクライナ難民ユーザー向けのクリプトカード発行

バイナンス、SpellToken(SPELL)とTerraUSD(UST)上場へ

クラーケングローバル、テラユーエスディー(UST)上場

参考:バイナンス
デザイン:一本寿和
images:iStocks

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【10/4話題】SWIFTがデジタル資産・通貨を来年試行、グレースケールがAAVEの投資信託など(音声ニュース)

国際決済網SWIFT、デジタル資産・通貨を実際に取引へ、来年試行、Grayscale、アーベ(AAVE)の投資信託を提供開始、フランクリン・テンプルトン、「オンチェーン米国政府マネーファンド」をアプトスに展開、スペイン大手銀行BBVA、Visa支援で「ステーブルコイン」来年ローンチ計画か=報道、リップル、ラテンアメリカ最大の暗号資産取引所メルカドビットコインと提携、国際送金ソリューション利用へ、IMF、「エルサルバドルとのプログラム協議でビットコインは依然として重要な要素」と発言、台湾FSCが新たなマネロン防止規制を起草、プロ投資家限定で海外の暗号資産ETF投資許可も、クリスティーズ、アート作品130点以上にデジタル所有証明書発行、Base採用で、アニモカとランボルギーニ、デジタルカーを売買・所有できるプラットフォーム「Fast ForWorld」立上げ、「NewLo」のプレイシンクがコミュニティラウンドの資金調達へ、株式投資型クラウドファンディングの「イークラウド」で

マスターカードとアマゾンペイメントサービスが提携、中東・北アフリカでデジタル決済拡大へ

米決済大手マスターカード(Mastercard)が、中東・北アフリカ(MENA)地域におけるデジタル決済の普及に向け、同地域のオンライン決済ソリューションプロバイダー「アマゾンペイメントサービス(Amazon Payment Services)」と複数年にわたるパートナーシップを締結したことを9月30日発表した

エドワード・スノーデンが「ビットコインは最悪のシナリオを想定して設計されたシステム」と評価、ソラナの運用モデル指摘も

米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏が、「国家の介入に抵抗できるようにプロトコルレベルからサービスを設計しなければ、テレグラムのような事態に直面することになる」との考えを示した