ユニセフがNFTアートオークション開催へ、収益を世界の子どものデジタル格差解消に

ユニセフがNFTアートオークション開催へ

ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)が、NFTアート1,000点のオークションを実施することが分かった。

このNFTオークションはユニセフ創立75周年を記念するもので、またオークションの収益は、オンライン機器や設備の普及の遅れで学習の機会を奪われている世界の子どもたちを支援に活用されるとのこと。

具体的には、ユニセフがITU(国際電気通信連合)とともに進める、低軌道通信衛星、機械学習(マシンラーニング)、ブロックチェーンなどの技術を使って世界中のすべての学校をインターネットで繋ぐGIGA(ギガ)プロジェクトなどの、革新的な技術で世界の子どもたちが置かれている状況を改善するための取り組みに活用されるという。

なお全世界でGIGAを通じ、これまでに3,000校の70万人を超える子どもたちがインターネットを活用できるようになり、さらに100万人を超える子どもたちへの支援が計画されているという。

またこれらのNFTはイーサリアムにて発行する予定だ。また一部には、ユニセフ創立75周年を記念する「電子透かし(digital watermark)」が施され、他のNFTアートも、2022年初頭に予定される複数のイベントに関連付けられる予定とのこと。

今回のNFTアートコレクションの制作にあたって、ユニセフはデータ視覚化デザイナー・アーティストのネディア・ブレイマー(Nadieh Bremer)氏とコラボを実施。一つ一つが、インターネットに繋がっている学校がある「上」の世界と、まだ繋がっていない学校がある「下」の世界を表現している作品をまとめた「パッチワーク王国(Patchwork Kingdoms)」と題された作品となる。

世界の子どもたちのデジタル格差を視覚化するGIGAのライブマップにヒントを得て制作されたパッチワーク作品は、21カ国28万校のデータを視覚・アート化したもので、パッチワークを構成するそれぞれのNFTアートも、28万校を小グループにまとめ、それぞれのデータを視覚・アート化したものになっている。

今回のNFTオークションは来年1月に予定されており、詳しい日程については後日発表される予定だ。現在GIGAプロジェクトによる「パッチワーク王国」の特設サイトが公開されており、NFTのミント(発行)については「Coming Soon」となっている。

なお特設サイトによると、今回のNFTコレクションの開発はGIGAプロジェクトとスノウクラッシュラボ(Snowcrash Labs)のパートナーシップによって行われるようだ。スノウクラッシュラボは、ソラナ(Solana)ブロックチェーンのNFTプラットフォーム「スノウクラッシュ」を運営する企業だ。

また特設サイトにはイーサリアム財団(Ethereum Foundation)のロゴもパートナーとして掲載されている。同財団エグゼクティブ・ディレクターの宮口あや氏もアドバイザーに名を連ねており、「パッチワーク王国」の紹介動画でもコメントを寄せている。ユニセフは2019年よりイーサリアム財団のサポートでクリプトファンドを立ち上げており、今回の取り組みについても協力関係にあるようだ。

なお今回の取り組みは、国連機関がNFTを活用する事例としては最大規模となると発表されている。

NFTとは

「NFT(Non Fungible Token:ノンファンジブル・トークン)」とは、代替が不可能なブロックチェーン上で発行されたトークンを指す。NFTの規格で発行されたトークンは、そのトークン1つ1つで個別の価値を持つ。そのためNFTを画像や映像などのデジタルデータと紐付けることで、デジタルデータの個別の価値を表現することに活用されている。

なおNFTという言葉は現在幅広く活用されており、活用するブロックチェーンやマーケットプレイスの種類によって、その機能や表現できる価値が異なる可能性があることには留意が必要だ。

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参考:ユニセフ
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Who_I_am

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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