中南米最大のデジタル銀行Nu、米国で金融サービス開始。USDC・EURC活用の「Nu Global」も順次提供

「Nu Global」、35か国超で手数料無料の送金に対応

ラテンアメリカ最大のデジタル銀行ヌー(Nu)が、米国での事業開始と、多通貨デジタル口座「ヌー・グローバル(Nu Global)」の段階的な提供開始を9月10日に発表した。ヌー・グローバルでは、米ドル連動型ステーブルコイン「USDC」とユーロ連動型ステーブルコイン「EURC」を活用し、35か国以上との間で資金の送金・受け取りができるようにする。

ヌーはブラジルで2013年に設立されたデジタル銀行。スマートフォンアプリを中心に金融サービスを提供している。現在はブラジル、メキシコ、コロンビアで事業を展開し、顧客数は1億4,000万人を超える。

ヌー・グローバルは、複数の国で生活や仕事をする利用者向けのサービスだ。ヌーは今回の発表で、国境を越えて暮らす人は世界で3億人を超え、2025年の国際的な個人送金額は推計約8,000億ドル(約123.4兆円)に達したと説明した。また国際送金では、平均約6%が手数料や為替マージンとして失われていることを課題として挙げた。

こうした課題に対応するため、ヌー・グローバルでは、利用者が預けた資金がUSDCまたはEURCへ変換される。USDCとEURCは、米サークル(Circle)が発行するステーブルコインで、それぞれ米ドルとユーロに価値が連動するよう設計されている。中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)ではなく、民間企業が発行するデジタル資産だ。

ヌーは、ヌー・グローバルでUSDC残高に年率3.50%、EURC残高に年率2.20%の利回り(APY)を設定し、収益を毎日付与する。また同サービスでは、35か国以上との間で、手数料無料で送金・受け取りができる。まず欧州とラテンアメリカの一部の国・地域から提供を開始し、ブラジル、コロンビア、メキシコ、米国との統合も今後数か月以内に予定する。

同サービスには、バーチャルのマスターカード(Mastercard)も付属する。利用者は為替レートへの上乗せなしで世界各地の支払いに利用できるほか、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など一部の暗号資産をアプリ内で保有・取引できる。

米国では銀行口座とクレジットカード提供

ヌーはヌー・グローバルとあわせて、米国での金融サービス提供も開始した。米国では「ヌー・アカウント(Nu Account)」と「ヌー・クレジットカード(Nu Credit Card)」を提供する。

米国向けのヌー・アカウントとヌー・クレジットカードは、米連邦預金保険公社(Federal Deposit Insurance Corporation:FDIC)加盟の提携銀行リード・バンク(Lead Bank)を通じて提供される。ヌー・アカウントの預金もリード・バンクで保有される。

ヌーは2025年9月、米通貨監督庁(Office of the Comptroller of the Currency:OCC)にナショナルバンク認可を申請し、2026年1月に条件付き承認を取得した。ヌーは正式な銀行認可に向けた手続きを進めており、今回の米国事業では提携銀行モデルを利用する。これにより、銀行認可の手続きと並行して顧客へのサービス提供やフィードバックの収集を進める。

ヌー・アカウントの預金残高には、年率3.50%の利回りが設定される。利息は利用可能残高に基づいて毎日計算・支払いされる。今後は一定の条件を満たした利用者を対象に、「貯蓄目標(Savings Goal)」に設定した残高のうち1万ドル(約154万円)までの利回りを年率4.50%へ引き上げる予定だ。

またヌー・アカウントは、米国内外への資金移動にも対応する。国際送金はブラジル、メキシコ、コロンビア向けから開始し、今後数十か国へ対象を拡大する予定だという。ヌー・クレジットカードは年会費無料で、購入額の1.5%をキャッシュバックする。今後は一定の条件を満たした利用者を対象に、キャッシュバック率を2%へ引き上げる予定とのことだ。

ヌーは今回の米国進出とヌー・グローバルの発表を、ラテンアメリカを中心とする事業からグローバルなデジタルバンキングプラットフォームへ発展するための戦略的な一歩と位置付けている。ヌー創業者兼CEOのデイビッド・ベレス(David Vélez)氏は、今回の発表が世界を代表するデジタル銀行を目指す長期的な取り組みにおける最初の節目だと説明した。

参考:ヌー
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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