元イーサリアム財団研究者らが研究開発組織「Ethlabs」を設立。ビットマインやシャープリンクらが支援

元イーサリアム財団研究者らが「Ethlabs」設立

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の元研究者らが、非営利の研究開発組織「イーサラボ(Ethlabs)」を立ち上げた。イーサラボは、イーサリアムの機関投資家や企業による採用拡大を目的に、関連する研究開発を進める。イーサラボ公式Xアカウントより6月23日に発表された。

イーサラボは、イーサリアムをグローバル経済の決済・清算レイヤーとして発展させることを目的とする非営利の研究開発組織だ。ステーブルコインやトークン化された現実世界資産(RWA)、ファンド、自律型AIコマースなどの利用拡大を見据え、イーサリアムの高速化や信頼性の高い相互運用性の実現に取り組むという。

同組織は、アンスガー・ディートリックス(Ansgar Dietrichs)氏、バルナベ・モノ(Barnabé Monnot)氏、キャスパー・シュワルツ=シリング(Caspar Schwarz-Schilling)氏、ジョシュ・ルドルフ(Josh Rudolf)氏、ジュリアン・マー(Julian Ma)氏の5名が共同設立した。発表によると、同氏らは過去10年間にわたりイーサリアムの主要アップグレードに関わってきた研究者だ。主にファイナリティ、スケーリング、データ可用性、仮想マシン、プロトコル経済設計などの分野で活動してきたとのこと。

またイーサラボは、ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(Bitmine Immersion Technologies)、シャープリンク(Sharplink)、イーサリアム共同創設者のジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏を主要資金提供者として発足した。その他、アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)、オクタント(Octant)、SNZなども資金提供に参加している。

イーサラボによると、初期の研究開発は機関投資家によるオンチェーン金融の利用拡大に向けた基盤整備に集中するという。具体的には、清算の高速化、ネイティブ発行の実現、堅牢なインフラ上でのクロスチェーン移動、メインネットの処理能力拡張、ETHの貨幣的特性に関する研究などを進める。

イーサラボは公式サイトで、「イーサリアムをグローバル経済の決済・清算レイヤーにすること」をミッションに掲げている。また、信頼できる中立性、ETHトークン、分散型金融(DeFi)を重視しながらイーサリアムの実利用拡大を推進する考えを示している。

CROPSを掲げるEFとEthlabsの新たな役割

今回の発表は、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の組織再編が進む中で行われた。同財団は今年3月、組織の使命や意思決定原則を示す「EFマンデート(EF Mandate)」を公開。利用者の自己主権(self-sovereignty)を支えることを目的に、「検閲耐性(Censorship Resistance)」、「オープンソース(Open Source)」、「プライバシー(Privacy)」、「セキュリティ(Security)」の4つを重視する「CROPS」方針を掲げている。

こうした方針のもと、イーサリアム財団では組織体制の見直しも進められている。同財団は今年5月、従来の「Protocol R&D」を「Protocol」へ再編したほか、プロトコルクラスタのリーダーシップ移行も発表した。イーサラボ共同設立者のバルナベ・モノ氏は、この再編の過程で財団を離れた研究者の一人だ。

イーサリアム財団の暫定共同エグゼクティブディレクターであるバスティアン・アウエ(Bastian Aue)氏は6月22日、自身のXアカウントでイーサリアム財団の方針について説明した。同氏は、イーサリアム財団は同財団の影響力拡大や企業・政治的な訴求、エコシステムの人気向上、短期的な投機家の期待に応えることを目的とする組織ではないと述べた。そのうえで同氏は、MEV(最大抽出可能価値)による価値の抽出やプライバシーの欠如、ステーキングの集中など、イーサリアムの中立性や自己主権を脅かす課題への対応を優先する考えを示した。

一方、イーサラボはステーブルコインやトークン化資産、AIコマースなどによるオンチェーン需要の拡大を見据え、機関投資家向けの利用環境整備を重点領域に掲げている。また、ビットマインの会長トム・リー(Tom Lee)氏は今回、「イーサリアムは機関投資家とAIエージェントによる利用拡大の局面にあり、研究と人材への投資を大幅に増やす必要がある」と述べている。

このように、イーサリアム財団が活動領域を絞り込みながら中立性や自己主権の維持に注力する一方で、イーサラボは機関投資家やトークン化資産、AIコマースなどの新たな需要拡大を見据えた研究開発を進める組織として位置付けられているようだ。

参考:Ethlabsプレスリリースザ・ブロック
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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