クラーケンとドイツ取引所が提携、デリバティブやxStocks連携で

クラーケンとドイツ取引所が提携

海外大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)とドイツ取引所グループ(Deutsche Börse Group)による戦略的提携が12月4日に発表された。

発表によると今回の提携の第1フェーズでは、クラーケンがドイツ取引所グループ子会社のFX(外国為替)取引プラットフォーム「360T」と直接統合するとのこと。この統合により、クラーケンの顧客は銀行グレードのFX流動性にアクセスでき、また法定通貨のオン/オフランプの効率向上や機関投資家グレードの取引執行が確保されるという。

また今回の提携では、クラーケンが自社の暗号資産サービス提供ソリューション「クラーケン・エンベッド(Kraken Embed)」を活用し、ドイツ取引所グループのネットワーク全体で機関投資家向けの暗号資産アクセスを拡大するという。

さらに、両社は共同で銀行やフィンテック、その他の金融機関が欧州と米国の顧客に対して、コンプライアンス準拠の暗号資産取引と保管(カストディ)サービスを提供可能にするホワイトラベル型ソリューションを開発するとのこと。ホワイトラベル型ソリューションとは、企業が開発した製品やサービスを他社が自社ブランドとして提供できる仕組みを指す。

また規制当局の承認を条件に、両社はドイツ取引所グループ運営の欧州デリバティブ市場ユーレックス(Eurex)に上場するデリバティブを、クラーケン上で取引可能にする計画だ。

この連携によりドイツ取引所グループの顧客は、同グループの子会社クリプトファイナンス(Crypto Finance)を通じて、さらにクラーケンの取引プラットフォームを利用することで、暗号資産とデリバティブを取引可能になるとのこと。なお、これらの資産の保管にはドイツ取引所グループの子会社クリアストリーム(Clearstream)とクリプトファイナンスを活用されるという。

さらに、クラーケンとドイツ取引所グループは株式トークン化プロダクト「xStocks」を、DLT(分散型台帳技術)活用のデジタル資産向けマーケットプレイス構築プラットフォーム「360X」のエコシステムに統合する予定とのこと。両社はクリアストリームで保管されている証券をトークン化し、これらのトークン化証券をクラーケンの顧客基盤に配布可能にする予定だという。

またクラーケンは、暗号資産とトークン化資産に投資したいドイツ取引所グループの機関投資家顧客に対し、米国市場でのサービスと取引インフラを提供するとのこと。一方、ドイツ取引所グループはクラーケンのグローバル顧客基盤に対し、欧州の市場インフラと関連サービスを提供するとのこと。

なお、xStocksはスイス拠点の資産トークン化企業バックド(Backed)とクラーケンが共同開発し、6月30日に提供開始された株式トークン化プロダクトだ。

xStocksでは、米国主要企業の株式やETF(上場投資信託)がトークン化されている。これらのトークン化株式は実際の株式に1:1で裏付けられており、DeFi(分散型金融)上で24時間365日取引が可能だ。なお12月2日、クラーケンはバックドの買収について合意されたと発表している。 

参考:クラーケンドイツ取引所
画像:PIXTA

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一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
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