ヴィタリックがイーサリアムの役割を再定義
イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、イーサリアムを「サンクチュアリテクノロジー(sanctuary technologies:避難所となる技術)」を構築するエコシステムの一部として位置づける考えを3月3日ににXへ投稿した。同氏は投稿で、「アップル(Apple)やグーグル(Google)のようになろうとせず、暗号資産(仮想通貨)を効率性や華やかさを売りにするテックセクターとして捉えるべきではない」と述べている。
ブテリン氏によると、過去1年間で多くの人々が政府や企業による監視と統制の強化、戦争、ソーシャルメディアのミーム戦場化、AI(人工知能)とこれらの問題の相互作用など、世界の状況について懸念を表明してきたという。同時に、イーサリアムがこれらの問題に直面する人々の生活を改善する上で、自由やプライバシー、デジタルライフのセキュリティ、コミュニティの自己組織化といった重視する側面において、意味のある貢献ができていないという現実が重くのしかかっていると語った。
同氏は、「イーサリアムは世界を修正できない」としつつも、サンクチュアリテクノロジーのエコシステムを構築する役割を担うべきだと主張している。サンクチュアリテクノロジーとは、人々が外部からの圧力に対する堅牢性を最適化する形で、生活し、働き、互いにコミュニケーションを取り、リスクを管理し、富を築き、共通の目標に向けて協力できるようにする、自由なオープンソース技術のことだ。
ブテリン氏は、目標は「脱全体化(de-totalization)」であると説明している。これは、勝者が完全な勝利(つまり他の人間に対する完全な支配)を得ることを防ぎ、敗者が完全な敗北を喫することを防ぐことで、混沌とした時代におけるデジタルの安定した島を創出し、武器化できない相互依存を可能にすることが目的だとのことだ。
また同氏は、イーサリアムの役割は異なる主体が協力し相互作用できる「デジタル空間」を創出することだと述べている。通信チャネルは相互作用を可能にするが「空間」ではなく、時間とともに変化する何らかの社会的取り決めを正規に表す単一の一意なオブジェクトを作成することはできないという。「マネー」はその重要な例の1つであり、メンバーを変更できるマルチシグや、さまざまな市場とガバナンス構造も例として挙げられている。
ブテリン氏は、暗号資産を効率性や華やかさを可能にする技術セクターとして見るのではなく、「所有者のいない共有デジタル空間」というオープンファイナンスなどを可能にするサンクチュアリテクノロジーエコシステムの一部を構築すべきだと強調している。ウォレットやアプリケーション層(インターフェースとしてのAIを含む)への上方向と、OS(オペレーティングシステム)、ハードウェア、さらには物理的/生体セキュリティレベルへの下方向の両方で、フルスタックエコシステムに向けてより積極的に構築すべきだとのことだ。
さらに同氏は、サンクチュアリテクノロジーがまさに必要なものである個人および機関のユーザーを探し、中央集権的な技術では提供されない目標のために、決済やDeFi(分散型金融)、分散型ソーシャル、その他のアプリケーションを最適化すべきだと述べている。「暗号資産」の外にも多くの同盟者がおり、オープンマインドで協力し前進する時だと語った。
なおブテリン氏の今回の発言は、1990年代のサイファーパンク運動や初期の暗号資産開発者たちの考え方を想起させる面があり、プライバシーや検閲耐性などの価値観との親和性が指摘されている。
Over the past year, many people I talk to have expressed worry about two topics:
— vitalik.eth (@VitalikButerin) March 3, 2026
* Various aspects of the way the world is going: government control and surveillance, wars, corporate power and surveillance, tech enshittification / corposlop, social media becoming a memetic…
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