SBIデジタルマーケッツ、チェーンリンクと提携強化。トークン化資産の相互運用基盤を構築

CCIP採用によりクロスチェーン接続を実現

SBIデジタルマーケッツ(SBI Digital Markets)が、オラクル基盤を提供するチェーンリンク(Chainlink)と戦略的パートナーシップを強化し、クロスチェーン相互運用プロトコル「CCIP(Cross-Chain Interoperability Protocol)」を自社のデジタル資産プラットフォームに採用することを11月5日に発表した。

SBIデジタルマーケッツは、SBIグループ傘下のデジタル資産関連事業を担う企業だ。シンガポールを拠点に機関投資家向けにデジタル資産の発行、流通、保管、資本市場でのディーリングなどのサービスを提供している。同社は2022年9月にシンガポール金融管理局(MAS)から資本市場サービスライセンスを取得している。

今回の提携により、SBIデジタルマーケッツはトークン化された実世界資産(Real World Assets:RWA)を、パブリックチェーンおよび許可型ネットワークを横断して移転可能とする相互運用基盤を整備するという。これにより同社が構築するデジタル資産ハブにおいて、複数チェーン間での流動性供給および資産管理が可能になるとしている。

またSBIデジタルマーケッツは、チェーンリンクが提供する「CCIPプライベート・トランザクション」を活用するとのこと。これはクロスチェーン取引における取引額、相手先情報、決済指示などのデータを第三者から秘匿する機能を備えており、プライバシー要件が求められる機関投資家向け取引での利用が想定されている。

さらにSBIデジタルマーケッツは、チェーンリンクのコンプライアンス基盤「オートメーテッド・コンプライアンス・エンジン(Automated Compliance Engine:ACE)」の導入を検討しているという。これにより国・地域ごとの規制に基づいたオンチェーン取引制御を動的に実行できる環境の構築を目指す狙いだ。

今回の協業は、シンガポール金融管理局が主導する資産トークン化実証「プロジェクト・ガーディアン(Project Guardian)」での取り組みを前提としたものだ。同実証ではSBIデジタルマーケッツ、UBSアセット・マネジメント、チェーンリンクが共同で従来型ファンド管理業務や移転代行手続きの自動化に成功していた。

なお「プロジェクト・ガーディアン」は、MASが昨年5月より推進するプロジェクト。ホールセールの資金調達市場の効率化と流動性向上を目的とした、トークン化債券・預金の機関投資家間での取引可能性などを検討している。

参考:SBIデジタルマーケッツ
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

米DTCC子会社DTC、SECからノーアクションレター取得。規制下のトークン化サービス検証へ

米国の金融市場インフラを担うデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)が、子会社であるデポジトリー・トラスト・カンパニー(Depository Trust Company:DTC)について、米証券取引委員会(SEC)の取引市場部門スタッフからノーアクションレターを取得したと12月11日に発表した

スーパーステートがトークン化株式の直接発行プログラム公開、ソラナとイーサリアムに対応

金融テクノロジー企業のスーパーステート(Superstate)は、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)のブロックチェーン上でトークン化された株式を、米SEC(証券取引委員会)登録の公開企業(上場企業を含む)が直接発行できる新プログラム「ダイレクト・イシュアンス・プログラム(Direct Issuance Programs)」を12月10日に発表した