IBM、金融機関向けデジタル資産運用プラットフォーム提供へ。企業のカストディ運用事業を支援

米IBMデジタル資産運用プラットフォームを提供へ

米IBMが、機関投資家や金融機関向けのデジタル資産運用プラットフォーム「デジタル・アセット・ヘイブン(Digital Asset Haven)」の提供予定を10月27日に発表した。同プラットフォームは複数のブロックチェーン上で資産を安全かつ効率的に管理するための統合基盤だ。ウォレット生成から取引、鍵管理、ガバナンスまでを包括的に支援するという。

同プラットフォームの提供は段階的に行われる。SaaSおよびハイブリッドSaaS版は今年第4四半期に、オンプレミス版は2026年第2四半期に提供開始する予定だ。

同プラットフォームは「トークン化資産」や「ステーブルコイン」の普及に伴い、金融機関が直面する運用・セキュリティ・規制対応の課題への対処を目的としている。複数のシステムやワークフローが断片化している現状を踏まえ、エンタープライズ環境に統合可能なフルスタック・オーケストレーションレイヤーを提供し、金融機関が求める長期的な運用耐性を確保するとしている。

同プラットフォームが提供する主な機能として、APIやSDKを活用したウォレットの自動生成やアプリケーションへの組み込み、スマートコントラクト実行を含むポリシー駆動型トランザクション、KYC・AMLなどの外部サービスとの事前統合、そして企業内部の承認プロセスに対応したガバナンス設定機能が挙げられる。

鍵管理では、マルチパーティ計算(MPC)、ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)、オフライン署名オーケストレーター(OSO)など複数の方式を統合して資産や管轄区域、ユースケースに応じて柔軟に署名モデルを選択できる設計となっている。

また同プラットフォームでは、IBMが提供するハードウェアレベルのセキュリティ基盤を活用し、鍵生成や署名などの機密プロセスを外部や管理者から隔離する「コンフィデンシャル・コンピューティング(Confidential Computing)」技術を採用している。これによりシステム運用者であっても取引データや秘密鍵に直接アクセスできない構造となり、機密性と改ざん耐性を高めている。

なお金融機関や大手企業による暗号資産(仮想通貨)のカストディ(保管)事業への参入が相次いでいる。米金融大手シティ(Citi)は2026年を目標にカストディサービスの提供を計画している。またウォルマート(Walmart)が出資するフィンテック企業ワンペイ(OnePay)も、インフラ提供企業ゼロハッシュ(ZeroHash)と提携してビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のカストディ事業を開始する予定だ。

今回のIBMの発表は、こうした拡大するカストディ事業者の需要に対応したインフラ提供の一環とみられる。

参考:IBM
画像:PIXTA

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あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

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