スイ上で米フィギュアの利回り付き証券トークン「YLDS」が稼働へ

Suiが「YLDS」をネイティブ導入へ

レイヤー1ブロックチェーンのスイ(Sui)を支援するスイ財団(Sui Foundation)が、米フィギュア・テクノロジー・ソリューションズ(Figure Technology Solutions)の子会社フィギュア・サーティフィケート・カンパニー(Figure Certificate Company:FCC)との提携を10月14日に発表した。

この提携により同社が発行するSEC(米証券取引委員会)登録済みの利回り付き証券トークン「YLDS」をスイ上にネイティブ導入するという。

YLDSは短期国債および国債を用いたレポ契約を裏付けとする債券型トークンだ。日次発生・月次支払いの仕組みにより、SOFR(担保付翌日物調達金利)から35ベーシスポイントを差し引いた利回りを提供するとのこと。個人および機関投資家の双方が利用可能で、24時間365日稼働するピアツーピア取引を通じて即時流動性を確保する。

今回のYLDS導入により、スイエコシステム上で規制準拠かつ利回りを備えたデジタル資産の取引が可能になる。

特にスイに統合されている流動性提供プロトコル「ディープブック(DeepBook)」での活用が想定されている。ディープブックでは今後、信用取引機能の実装を予定しており、その利回りレイヤーとしてYLDSが利用される見込みだ。

具体的にはディープブックの内部流動性プールでステーブルコインが自動的にYLDSへスワップされ、取引手数料や清算イベントなどから発生する利回りを還元する仕組みが導入されるという。これにより資本効率を最大化しながら、安定的な流動性供給が可能になるとみられる。

フィギュアは既にプロビナンス・ブロックチェーン(Provenance Blockchain)上で金融商品を展開しており、今回のスイ導入は同社にとって初の他L1ブロックチェーンでの展開となる。同社は住宅ローンなどを含むブロックチェーン基盤の融資プラットフォームを構築し、累計160億ドル以上の貸付を実行しているという。

スイとの提携を通じ、将来的にはスイユーザーが暗号資産取引所を経由せずに法定通貨建ての入出金(オン/オフランプ)を利用できるようになる見込み。また、両社は今後、SUIトークンをフィギュアのレンディングプラットフォームの担保資産として活用する可能性についても協議を進めるという。

なお9月にはSUIのDAT(デジタル・アセット・トレジャリー)企業であるスイ・グループ・ホールディングス(SUI Group Holdings:SUIG)が約2,000万SUIを追加取得し保有量を1億SUI超に拡大した。さらに10月に同社は、スイ基盤のステーブルコイン「suiUSDe」と「USDi」の発行計画も発表している。

スイはこうした動きを通じて、資産保有、ステーブルコイン発行、証券トークン展開といった複数の金融レイヤーを結びつけるエコシステムへ進化している。今回のYLDS導入はその流れを後押しするものとみられる。

参考:スイフィギュア
画像:iStocks/Aleksei_Derin

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