Bakktが10億ドル規模の資金調達を計画。暗号資産保有計画も視野か

SECにS-3登録提出

米デジタル資産サービス企業バックト(Bakkt)が、米証券取引委員会(SEC)にS-3登録書を6月26日付けで提出し、最大10億ドル(約1,439億円)の資金調達を計画している。

提出書類によれば、今回の資金調達は「シェルフ・オファリング(Shelf Offering)」の形式で行われる。これは、あらかじめまとめて登録した証券を、必要に応じて分割して市場に売り出せる仕組みで、企業にとっては登録コストの削減や柔軟な資金調達が可能となる。

今回売却が予定されている証券は、バックトのクラスA普通株式、優先株式、ワラント(新株予約権)、および債券だ。バックトはこれら資産組み合わせ、最大10億ドルまで発行することができる。

調達資金は、運転資金およびその他の一般的な企業目的に使用する予定とされている。

またバックトは、6月上旬に、投資方針を転換。提出書類には、「当社の広範な財務および企業戦略の一環として、ビットコインやその他のデジタル資産に資本を配分できるようにする」と記載されている。

また、「余剰資金、将来の株式または債券による資金調達、またはその他の資本源を用いて、ビットコインまたはその他のデジタル資産を取得する可能性がある」と記されていることからも、今後バックトが暗号資産保有体制を構築していく可能性が高そうだ。

バックトは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社である米インターコンチネンタル取引所(ICE)の子会社だ。なおバックトはNYSEへ2021年10月に特別目的買収会社(SPAC)のVPC Impact Acquisition Holdings (VIH)との合併により上場している。

またバックトは2024年3月に消費者向けの暗号資産関連アプリを廃止している。アプリ廃止の理由を「今後は企業向け(B2B)ソリューションの提供を強化していくため」と説明していた。

なおバックトは、今回の提出書類の中で、営業損失の履歴があることを認めている。2025年初頭には継続企業としての存続に懸念があることも開示していた。

近年、上場企業がビットコインを戦略的財務資産として保有する動きは、一つの潮流となっている。

もしバックトが、今回の資金調達額10億ドルを全額ビットコイン投資に当てた場合、記事執筆(2025年6月30日)時点の市場価格(1BTCあたり約10万8200ドル)で換算すると、約9,244BTCになるため、保有企業ランキング上位に浮上する可能性もある。

参考:S-3登録書
画像: iStock/ BadBrother・metamorworks

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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